MP4を作成する
映像の圧縮にMPEG-4を利用したAVIファイルなどの動画データ作成手順の紹介は多いのですが、音声もMPEG-4 AACとなるとあまり見かけません。作れないわけではないので作成する手順を紹介してみましょう。ただし、再生は2004年半ばの時点ではかなり環境を選びます。再生ソフト側の対応がまだ追いついていないようなので。
このページの情報は古いため、キャプチャーしたテレビ番組をMP4ファイルで保存したい場合は「MP4でビデオ保存」を、携帯電話用にデータを作成したい場合は「便利な動画ファイル変換ツール」か「携帯電話用3GPPファイルを作成する / PSP用mp4を作成する」をご覧になってください。
用意するもの
- Psytel AAC encoder,PsytelDrop
- MPEG4で使われるAAC(Advanced Audio Coding)で音声を圧縮するのに必要です。MP3の約1.4倍ほど圧縮が効くのでファイルを小さくできます。すべてを同じフォルダに入れておけばOKです。
- FAAC
- コマンドラインのAACエンコーダーです。現在はAVIファイルの音声の圧縮にもこれを使っています。バッチファイルを作ってそこにWavファイルのアイコンをドロップするか送るでバッチファイルを呼び出せるようにしておく感じでOK。C:\WINDOWSにfaac.exeを入れた場合は以下のようなバッチファイルでよいでしょう。Qualityを100にしてMPEG-4 AAC、Main Profileで圧縮する例です。
@echo off
C:\WINDOWS\faac.exe -q 100 --mpeg-vers 4 --obj-type Main %1- MP4UI
- 映像と音声を結合してMP4ファイルを作成するために必要なツールです。
- mpegable DS decoder
- Windows Media Playerでmp4を再生することを可能にするデコーダーです。これは入れておくべき。これでいけるならばMPEG4IPは不要です。
- MPEG4IP
- MP4を再生するツールです。mp4player.zipを解凍してインストールしておいてください。作成したMP4ファイルを開けば再生できます。ただし、非常に再生処理が重いので、VLCやQuickTimeなどで再生可能ならばそちらを使ったほうがよろしいかと……。
映像部の用意
MP4の映像部分は、あらかじめXviD 1.0.0以降を使って、映像のみのAVIファイルとして作成しておきます。音声はWAVEファイルとして別途出力しておくのを忘れずに。
音声を圧縮する
PsyTELDropを起動して、用意しておいた音声ファイルのアイコンをドラッグして(マウスの左ボタンを押したまま)PsyTELDropの上まで持って行きましょう。ドロップする(マウスのボタンを離す)とAACへの圧縮が始まります。あらかじめPsyTELDrop上で右クリックして設定を行なっておきましょう。
設定はQualityをCustomにするとよいでしょう。"-qvbr 20"で80~90kBits/sとなります。ほとんどの人はこのあたりで満足できると思います。満足できない人は、各自で妥協できる数値を調べてください。なお、以下はAACENCに記載されている情報です。
- 64kBits/s≒Better than FM Radio
- 96kBits/s≒Near CD Quality
- 128kBits/s≒CD Quality
- 192kBits/s≒DAT Quality
MP4を作成する
MPEG-4 Visualで作成された映像部分のAVIファイルと、MPEG-4 AAC音声ファイルが用意できたら、結合してMP4にしましょう。MP4UIを起動して、最初にOpenボタンを押してMP4のファイルを指定します。フォルダを選択してファイル名を決めてください。存在しないファイルの場合は新規作成となります。続いてAddボタンを押し、音声ファイルを読み込みます。先に映像を読み込んでしまうと最終的にエラーとなることもあるので要注意。音声ファイルを読み込んだら、続けて映像を読み込ませます。XviDやDivXの圧縮オプションによっては、ISO MPEG4準拠とならない可能性があるかもしれません。映像ファイルも読み込み終わったら、MP4ファイルのTrackなどの一番上に表示されているMP4ファイル名上で右クリックして、"Optimize"を実行しましょう。これでMP4ファイルの作成は完了です。あとはMPEG4IPのwmp4playerなどで再生してみましょう。
作成したMP4ファイルは、MPEG-4のレベルによってはQuickTimeなどのプレーヤーで再生できません。MPEG-4の規格は幅広いので、MPEG-4規格のフルサポートはしていないというだけですが。
wmp4playerはDirectDraw Overlayに対応していないので、Pentium4/3GHzでもコマ落ちします。互換性に大きな問題があるのでMP4ファイルは当面は実験用とし、保存用データの作成はしないようにしたほうがよいでしょう。
MPEG-4の仕様
MPEG-4の映像部分の仕様を見ると、QuickTimeはMPEG-4 Simple Visual Profile準拠(DivX4と携帯電話も多くもSimple Visual Profile)、DivX5やXviDといったPC用の最新CODECは、より圧縮率の高いAdvanced Simple Profileを使っています。このあたりで再生互換性に問題が発生するわけですね。Simple Visual Profile準拠で映像部のデータを無料で作成するには、XviDの1.0.0以降を使うとよいでしょう。「XviDの設定」で軽く触れていますが、設定画面から、Simple/ARTS(Advanced Real Time Simple)/AS(Advanced Simple)の各レベルに準拠する設定が可能です。選んだProfile@Levelで使えない解像度、機能などは設定でグレーアウトするから重宝するのではないでしょうか? フレームレート制限ばかりはCODECでどうこうできるものではないので、作成者が気をつける必要はありますけど……。
ここでMP4ファイルを無事作成したとしても、携帯電話で再生できるかは微妙です。Simple@Level0の映像部に音声をAACで作成したMP4ファイルは、NTT DoCoMoのN900iでは再生できませんでした。まあ、MP4準拠のファイルが、そのまま著作権保護に力を入れている携帯電話で再生できるとは限らないというのは、最初から予想できていたことですけどね。概ね2012年以降に発売されたAndroid端末ではまず間違いなく再生できます。動画再生用にAndroidの安いタブレットを購入するというのもありかもしれません。