Intel SSD335
(2012/12/27)
OSのインストールは手間だから、最近忙しい自分は壊れるか性能に不満を感じるまでは使用中のPCを買い換えない方針でいます。昔はガンガン買い換えて更新していたんですけど、もう通常の用途なら十分なになってしまっていますからねぇ。SSDへの換装よりも使用しているPCを買い換えたほうがトータルでのパフォーマンスアップとなるのはわかっていはいるものの、性能に不満はないし手間もかけたくないわけで……。しかし、東京電力の大幅な電気代値上げに目眩がして、仕事関係で24時間PCの電源を入れている自分は仕方なく消費電力の削減を狙ってSSDを導入してみました。容量は240GBです。発売日に購入するあたり、人柱覚悟のチャレンジャーといわれても否定はできませんね。
付属品一覧
まずは開封してみたところ。PCへの増設で必要になるものが揃っているので、買ってくるだけで内蔵できますね。うちのPCには電源変換ケーブルは不要でしたが、あっても困りません。何かで必要になったときに利用できますし。ステッカーはいらないかなと思いましたけど。
- SATAケーブル
- 3.5インチベイ用マウンタ
- シリアルATA用電源変換ケーブル
- 取付ネジ
- CD-ROM(説明書)
- ステッカー
省エネで高速
HDDがアイドル時でも6Wとか結構電力を消費するわけですが、SSDはたいして電力を消費しません。本製品の場合は、動作時350mWでアイドル時275mWとHDDに比べて劇的な節電ができます。不在時でもPCを常時電源入れっぱなしにしないといけないサーバーとして運用している場合は、システム部にSSDを使うのは非常に有効でしょう。作業用フォルダをRAMディスクにしておき、一定時間未使用ならばHDDの電源をオフにする運用であれば、かなりの節電が見込めます。実際、常時電源入れっぱなしになっているうちのPCはSSD換装後に消費電力がかなり減りましたので効果あり。HDD未使用時にこまめに電源をオフにする省電力設定でOSを運用するならば非常に有効かと思われます。
節電よりも速度のほうが気になる人が多いと思いますが、本製品はシーケンシャルリードが500MB/sec、シーケンシャルライトが450MB/sec、4Kランダムリードが42,000IOPS、4Kランダムライトが52,000IOPSと謳われています。取り付けたうちのPCは古いので性能を完全に引き出せないものでしたが、体感でもかなり高速化を実感できています。Windows7の起動時間はHDDの時と比べて半減しました。
CrystalDiskMark 3.0.2 x64で計測してみた結果は以下の通りです。取り付けたPCが古くて仕様が300MB/s程度が上限なのでこの結果です。最新のPCでSATA3に接続すればこの倍は出ることでしょう。それでもWindows7の起動時間は半減し、インストールしているアプリが多いと右下の通知領域への登録エラーが起こって一部のアイコンが登録されない現象も改善されたので、うちの環境においては使い勝手が格段に向上した感じでしょうか。
SSDには書き換え回数に制限がある
HDDと違ってSSDは耐久性という問題が存在します。ヘビーに使わなければ気にするほどの問題にはならないはずですが、SSDは書き込み続けていればいずれ必ず壊れるということです。本製品は書き換え回数が少ない部分から使われるので、初期のSSDのように上書きが続いて壊れるまでが思いのほか早いってことはなくなっています。
そうはいっても、2012年末の段階ではSSDは高価なので、可能ならばSSD以外に書き込みたいという人もいるでしょう。Windowsなら個人用フォルダー内にある各フォルダを右クリックして、プロパティ内に「場所」があればそこから保存先のフォルダを変更することができます。それを利用して保存先をHDD上に変更するとSSDへの書き込みが減らすことが可能です。デスクトップとマイ ドキュメント、ダウンロード、マイ ピクチャ、マイ ビデオ、マイ ミュージックはHDDにしておいたほうがよいでしょう。ただ、HDDを使うということはSSDと比べて速度が低下することはいうまでもありません。
保存先の変更を行なってエラーが出たら、そのフォルダの移動は諦めたほうがよいでしょう。特にAppDataフォルダ内は変更を強行すると痛い目に合うかもしれません。Explorerや各社のブラウザのパスワードが消えて再入力必須になってしまうことがあります。ほかにもSSDの寿命を追求すると便利な機能をオフにすることになり、本末転倒になりかねません。まあ、2年ぐらい壊れなければいいよというならば、おそらくよほどヘビーな使い方をしていなければ何もいじらなくても大丈夫そうではありますね。それでも、書き換え可能回数に上限があるという制約がSSDにつきまとっていることは覚えておきましょう。
SSDを使用する上で重要なのはSSDの空き容量を大きく確保しておくようにするということになります。なぜならば、SSDのコントローラーが未使用領域をまんべんなく使って耐久性を向上させているのであり、そもそも空いている領域が少なければ特定の狭い範囲でだけ書き換えが行なわれて寿命を迎えてしまうためです。
環境移行用ソフトに期待してはダメ
IntelのSSD製品には環境移行用に「Intel Data Migration Software」が用意されています。しかし、これはほとんどのケースでおそらく移行には役に立ちません。なぜならば、転送元パーティションの容量が転送先のSSDの容量よりも小さくても、転送元の物理ドライブの容量がSSDの容量よりも大きければパーティションのコピーができずにエラーが出るためです。うちの環境の場合は、転送元のシステムが入っているパーティションは200GB。本製品は240GBだから余裕のはずです。しかし、転送元のHDDは物理容量が1TBあり、それゆえに容量が足りないと警告が出て転送できずでした。Acronis True ImageのOEM品なのですが、そもそも本家がこのアホな仕様でまともに使えないのですよね。
というわけで、PCのシステムが入ったドライブの容量がSSDの容量よりも小さい場合にだけ使えるものであり、多くの場合は役に立ちません。なんで環境移行という目的を果たせないものを提供しているのか意味不明です。移行用のソフトがあるから楽になりそうなんて思って本製品を買うとアテが外れて裏切られます。
自分はシステムドライブのバックアップに使っている「EaseUS Todo Backup Free 5.3」を使ってバックアップイメージからSSDへパーティションを書き込みました。リストアの際にSSD用に最適化にチェックを付けておけばパーティションアライメント問題を回避してシステムをSSDに移すことができます。チェックを付けずにSSDへリストアすると、SSDの速度が低下してしまうので注意が必要です。
移行時の手順は以下のように行ないました。
- 使用しているHDDよりも大きいSATAポート番号にSSDを接続してOSを起動。
- システムのパーティションを念のためHDD上にバックアップ。
- 作成したバックアップイメージをSSDにリストア。
- 1度電源を落して、起動用HDDに挿していたSATAケーブルをSSDに接続し、HDDをSSDよりも大きいポート番号のSATAに接続。SATAポートの若い番号にCドライブが割り当てられるため、ドライブ名がずれるのを防止する。
- SSDから起動して設定を開始。
- Winキー+Pauseキーでシステムのプロパティを開いて、Windws エクスペリエンス インデックスを実行。
Intel SSD Toolboxを入れる
書き換え可能回数に上限があるSSDでは、ドライブが壊れるまでの寿命が気になってしまいます。Intel製のSSDならば、「Intel® Solid-State Drive Toolbox」をインストールすることで推定余寿命を確認することが可能です。
たまに推定余寿命を見て25%を切ったら買い換えを検討する感じでいいかなと思っています。使い始めて2カ月も経っていないのに寿命が思ったよりも減っているのが気になるかもしれませんが、24時間PCの電源を入れっぱなしだけどインストール直後からバーの長さに変化がありません。初期状態に誤差があったか、システムドライブをパーティションコピーした時に減っただけのようです。
なお、「Intel® Solid-State Drive Toolbox」にはSystem Tunerがあり、SSDでは不要なSuperfetch/PrefetchやReadyBoostを無効化してSSD用にOSの設定を変更してくれます。誰でも簡単に設定できるのはよいのではないでしょうか。
OS設定のチェック項目
SSDの導入時にWindowsをクリーンインストールすれば、Windows7以降ならばSSD向けの適切な設定となります。しかし、SSDの導入前に使っていた環境をそのまま移行した場合はSSD用に設定を変更するべきです。最低限行なうべきものはSystem Tunerがやってくれますけどね。それ以外に行なったものを列挙しておきます。
- ディスクデフラグ ツールのスケジュール実行を解除して自動でフラグ処理を取りやめる。
- RAMディスクを作成してシステムを高速化するの手順で作業用フォルダをRAMディスクに変更。
- 仮想メモリをなしにするかHDD上に移動させる。(Winキー+Pauseキーでシステムのプロパティを開いて左ペインにあるシステムの詳細設定を選んでください。詳細設定タブにあるパフォーマンスのボタンを押して、パフォーマンス オプションの詳細設定タブから仮想メモリのボタンを押して、SSDへの割り当てをなしに変更します。必要ならばHDDのドライブに作成)
- 休止状態を使わないように設定。(コマンド プロンプトを管理者として実行し、
powercfg -h off
を実行)
この中で、休止状態は重要です。休止状態にするとメモリのデータを全て保存することになりますが、搭載メモリが8GBならば8GBのファイルサイズになるわけで、それだけのサイズをSSDに書き込んだら寿命をかなり削ると考えたほうがよいでしょう。設定を変更しない場合でも、休止状態とハイブリッドスリープは使わないようにするべきです。あとはレジストリを2点だけいじりました。
Windows Registry Editor Version 5.00 [HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Reliability] "TimeStampInterval"=dword:00000000 [HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\FileSystem] "NtfsDisableLastAccessUpdate"=dword:00000001
あとほかに、スタートボタンを右クリックして、プロパティから[スタート] メニュータブにあるプライバシーで最近開いたプログラムを [スタート] メニューに保存し表示すると最近開いた項目を [スタート] メニューとタスクバーに保存し表示するのチェックを解除してSSDへの書き込みが減るようにしています。とりあえずはこんなものでよいだろうと判断し、このまま運用していくつもり。