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RAMディスクを作成してシステムを高速化する

(2012/07/03)

最近のPCはメインメモリが8GBなど大容量となってきています。Windows7 64bit版を使っていても8GBすべてを使い切ってくれることはほとんどないため、メモリはあまっている状態の人もいるのではないでしょうか。そのような場合、ある程度のメモリをRAMディスクへ使用することでメリットが生まれます。OSやアプリは作業用ファイル(一時保存ファイル)をディスクへと書き込むため、読み書きの速度が遅いハードディスクに作業用のファイルを作成すると、いくらCPUの性能が高くても足を引っ張られて遅くなってしまうのです。そこで、ハードディスクよりもはるかに読み書きが高速なRAMディスクへ作業用ファイルを作成するようにすれば、ある程度の処理速度の向上と消費電力の削減が見込めます。体感できるほど速くなるのを感じられるのはごく一部のアプリケーションですが、やらないよりはやっておいたほうがよいでしょう。また、ハードディスクよりも書き込み耐久性の少ないSSDへの書き込み回数を減らすのにも有効です。

RAMディスクの特徴は以下の通りです。作業用フォルダにした場合に生じるメリットとデメリットも記載しておきました。

  1. 読み書きが最速のディスク。
  2. メモリを使用しているのでPCを終了するとデータが消えて空になる。
    ※使用するRAMディスクの製品によっては、PC終了時にハードディスクへデータを保存し、次回起動時にデータを復元してくれるものもあります。ただし、起動と終了に時間がかかるのが欠点です。
  3. RAMディスクに割り当てた容量だけシステムで使えるメモリが減るので、大きな容量を確保しにくい。
  4. ハードディスクへの読み書きと比べて消費電力が少ない。

要するに超速いけど重要なデータは保存してはいけませんよというディスクです。

RAMディスクの作成

Windows7 64bit版ではドライバに署名がないと通常の利用において不都合が生じてしまいます。ドライバに署名があって無料で使えるRAMディスクだと、Dataram RAMDiskがよさそうですのでこれを使うことにしましょう。比較的簡単に設定できます。まずはDataram RAMDiskからDownload Itをクリックしてダウンロードしましょう。そしてインストールしてください。

インストーラーによるセットアップは、を押して、I accept the license agreementにチェックをつけてを押します。ユーザー情報の入力になりますが、特に変更する必要がなければそのままをクリックして先に進めましょう。インストール先のフォルダ指定となるので、変更したいならば変更してください。を押すと確認となりますが、問題なければさらにを押してインストールを開始します。インストールが終わったらを押して無事完了です。なお、インストーラーの画面遷移は上記画像をクリックして確認してください。

インストールしたら、スタートメニューからRAMDisk Configuration Utilityを開きます。設定が必須となるのは、Settingsタブの項目です。初期状態では容量がわずか40MBですので、RAMディスクとして使いたいメモリ容量を指定します。自分は1024MB(1GB)を割り当てました。作業用ファイルを書き込むためだけのディスクですので、FAT32 Partitionを選択。Boot Sector SettingsWindows boot sectorです。Unformattedを選ぶとNTFSでフォーマットして使うことが可能ですが、Windowsを起動するたびに再設定するか、保存済みのRAMDiskイメージファイルを読み込まないといけないため、手間もしくは時間がかかるのでパスしました。FATのほうがNTFSより機能がシンプルなぶん速いので、作業用ファイルに使うドライブと割り切ってFAT32を選択しているわけです。FATファイルシステムの最大ファイルサイズが2GBまでという制約には、そもそも1GBしか割り当てないので関係ないですし。仮に4GB割り当てたとしても、ファイルサイズの制限にはそうそう当たることもないと思いますしね。

必要であればLoad and Saveタブの設定を変更しましょう。RAMディスクはWindowsを終了すると消えてしまうので、RAMディスクの内容を次回起動時にも使いたいのならば、ここで保存と読み込みの設定を行なってください。RAMディスクのサイズが大きいほどハードディスクへの保存処理と読み込み処理に時間がかかることに注意が必要です。完全に作業用に使われるだけのドライブと割り切り、PatitionをFATにすれば特に設定の必要はありません。自分は、Create TEMP directoryにチェックをつけてドライブの作成時にTEMPフォルダを作成するようにしています。これはドライブのルートフォルダには作成できるフォルダ・ファイル数に制約があるので、作業ファイルの作成先に指定するのならばサブフォルダを作成しておかなければなりません。Disk Labelはお好みでどうぞ。ラベルをつけておいたほうがわかりやすいので後々楽です。

設定が終わったら、上部のメニューバーでFileからSave Settingsを選んで設定を保存します。そしてStart RAMDiskを押してRAMディスクを割り当てましょう。「このデバイスソフトウェアをインストールしますか?」と聞かれるので、インストールを押してインストールを続行します。割り当てたあとは閉じて構いません。

FAT16もしくはFAT32であれば、すぐに使える状態でRAMディスクができています。そのまま使い始めまても大丈夫です。しかし、ドライブ名は固定しておかないとまずいので、自分はRAMディスクをT:に変更しました。

スタートメニューを開き、プログラムとファイルの検索diskmgmt.mscと入力してEnterキーを押してディスクの管理を開いてください。コントロールパネルから、システムとセキュリティ内の管理ツールにあるコンピューターの管理からディスクの管理を開いても大丈夫です。

ディスクの管理では割り当てられたRAMディスクを探します。見つけたら、そのディスクの上へマウスカーソルを移動させて右クリックしましょう。ポップアップメニューのドライブ文字とパスの変更を選びます。

を押してドライブ文字をTに変更です。これでRAMディスクはT:に変わります。変更時には警告が出ますが、インストール直後であればまだ何にも使っていないので気にせずを押して問題ありません。

ここまでの手順でRAMディスクはT:にできたわけですが、これだけではドライブが追加されただけです。作業用ファイルをRAMディスクに作成するように設定を変更する必要があります。

環境変数を変更する

作業用ファイルは環境変数TEMPとTMPで指定されています。これをRAMディスク上のフォルダへ変更します。まずは、以下のいずれかの手順でシステムのプロパティを開きましょう。

システムのプロパティを開いたら、詳細設定タブが選ばれていることを確認し、を押します。環境変数の設定画面となるので、これを編集していきましょう。

環境変数は上側のユーザー環境変数と下側のシステム環境変数があります。基本的にはシステム環境変数で指定されている値が使用され、ユーザー環境変数があった場合はそちらが優先されるという仕様です。作業用ファイルの作成先はユーザーごとに変える必要はありません。ユーザー環境変数のほうでTEMPTMPを探し、もし設定されていたら、それらをクリックしてを押しましょう。これで今後RAMディスクのドライブを変更したとしても、システム環境変数を変更するだけでよくなります。

システム環境変数のほうもTEMPTMPを探しますが、こちらは見つけたらクリック後にを押してください。値をRAMディスク上のフォルダにすればOKです。自分の場合は、T:にTEMPフォルダを作成したので、T:\TEMPにしてあります。設定が終わったらを押して変更作業は完了です。

ブラウザ設定の変更

環境変数を参照して作業ファイルの作成場所を適切に変更してくれるアプリケーションばかりではありません。多くのPCで使用頻度が高いであろうブラウザは、フォルダを決めうちしているので設定の変更が必要です。

Firefoxでは作業フォルダの変更を推奨しません。もっとよい設定があります。カコミ内のほうの設定を行なってください。

Firefoxを起動してアドレスバーにabout:configと入力してEnterキーを押します。警告が出るのでを押して先に進みましょう。検索の部分にbrowser.cache.disk.parent_directoryと入力してEnterキーを押して検索を実行してください。初期状態では検索結果がないはずです。設定一覧が表示される部分の何もないところで右クリックし、新規作成文字列を実行してbrowser.cache.disk.parent_directoryを作成します。この値に作業用フォルダの場所を指定すれば設定は完了です。自分の場合だと、T:\TEMP\Firefoxという感じでしょうか。

Firefoxの場合は作業用フォルダの指定などというまわりくどいことをしなくても、Firefoxがメモリ上で処理するような設定があるので、そのように設定を変更したほうがよいでしょう。Firefoxを起動してアドレスバーにabout:configと入力してEnterキーを押し、検索の部分にbrowser.cacheと入力してEnterキーを押して設定項目を絞り込んでください。browser.cache.disk.enablefalseに変更、browser.cache.memory.enabletrueに設定、設定一覧が表示される部分の何もないところで右クリックし、新規作成数値を実行してbrowser.cache.memory.capacityを作成します。値には使用メモリを自動調整する設定となる-1を指定するとよいでしょう。明示的に使用メモリを割り当てる場合はKB単位で数値を指定します。

起動用のショートカットファイルを変更します。Google Chromeのショートカットファイルを右クリックして、プロパティからショートカットタブにあるリンク先に以下のような追記を行ないましょう。

--disk-cache-dir="作業用フォルダの場所"

うちはT:\TEMPを作業用フォルダにしたので、その中のChromeフォルダを作業用フォルダに指定しました。追記するのは、 --disk-cache-dir="T:\TEMP\Chrome"となります。chrome.exeの後ろに半角スペースを空けるのを忘れないようにしてください。

コントロールパネルから、ネットワークとインターネット内にあるインターネットオプションを開きます。もしくは、Internet Explorerを起動して、ツールからインターネットオプションを開いてください。

開いたインターネットのプロパティ全般タブが選ばれているのを確認し、閲覧の履歴にあるを押します。

するとインターネット一時ファイルと履歴の設定の画面になるので、をクリックして一時ファイルの保存先を変更してください。うちはT:\TEMPを指定しています。