VALUESTAR G typeS SmartVision
NECのPCに内蔵されているだけでなく、キャプチャーカード単体で販売されていたりするので、ここで記述する「SmartVision」の仕様などは、ソフトウェアのバージョンが同じならば共通の使用感になるのではないかと思います。キャプチャーカード単体で購入しようかと思っている人の参考にもなるかもしれません。出荷時の本機に付属しているバージョンは2.3でした。
録画番組の再生機能・テレビ関連
まずは録画した番組の再生からみていきましょう。SmartVisionを起動して、VIDEOリストをクリックすると録画した番組の一覧が表示されます。フォルダ分けされていて、番組表などをクリックして録画予約するなど、ユーザーが直接録画指定したものは録画フォルダに、キーワードを指定しておまかせで録画を行なったものはおまかせに収納されています。ダブルクリックで再生可能。番組の情報はプロパティで見ることができます。EPGの情報が埋め込まれるので、あとから参照するときにちょっと便利。映像ファイルの欄には、番組のMPEGの実体であるファイル名があります。AVIファイルの編集ツールを使いMPEG-4系のXviDやDivXなどで保存するという場合には、ここからファイル名を調べることが可能です。
録画した番組の再生中には、マウスのホイールボタン(中ボタン)を回転させることで早送り・巻き戻し(3/10/50倍)ができます。これはかなり便利な機能といえるでしょう。また、アドバンストモードでは音声付き変速再生もサポートしていて、1.5倍速再生(設定画面で0.1~2.0倍の間で変更可能)で録画した番組を見ることができます。時間のない人が重宝しそうな機能です。短縮再生もありますがこちらはいまいち。直感的なものではなく違和感があるので変速再生でいいかなという感じ。
再生画面は常に最前面表示とすることができるだけでなく、(スリムモードでは)画面のサイズを自由に変えられます(ただし最小サイズは映像部が240×180ドット)。デスクトップの右上のほうに小さくテレビを表示しておくといった使い方も可能です。適切なサイズに戻すことも右クリックのメニューから可能。
今や標準装備というべきタイムシフト再生機能は微妙。タイムシフトのバーがどうみても直感的ではなく、意図するような操作をすることが困難です。タイムシフトでどこまで遡れるかというのは、設定画面で最大90分までで指定できるのですが、タイムシフトで位置を指定するバーがダメダメです。一般的にスライドバーは、データ上のどのあたりというのを指定するために使われています。もちろん、SmartVisionのもそういう目的で用意されているのですが。バーの位置の基準が直感的ではないのです。SmartVisionは設定した最大のタイムシフト時間(90分なら90分:ここでは90分に設定しているという前提で話を進めます)をバーの100%として位置を指定することを求める仕様となっています。
テレビを見始めて5分ぐらいしたところで、ちょっと前のシーン、例えば見始めてから感覚的に2/3ぐらいのところだった気のするシーンを参照したいと思っても、バーの2/3の位置をクリックするわけにはいきません。バーの100%は90分であり、2/3の位置はまだ見始めるよりも短い時間の30分前。30分前にはテレビを見ていないのでタイムシフトデータは当然あるわけがなく、テレビを見始めた先頭から番組が表示されます。となれば、ユーザーはタイムシフト可能時間に設定した最大時間から、何分前だとバーの位置はここらあたりという考えてクリックしないといけないわけで。タイムシフトデータのある有効範囲のバーの色が別色になっているとか、そういう工夫があれば目安も付けやすいのですが、そのような気の利いた機能もなく、左ボタンを押したままスライドしてもその最中に再生開始位置の時間が表示されないので、慣れるまではタイムシフトで意図したシーンを呼び出すことは不可能でしょう。なお当然ですが、タイムシフト可能時間が最大の90分になっていると、1~2分前を呼び出したいと思ってもバーの有効範囲が狭すぎて目的の部分を呼べるわけがありません(笑)。タイムシフト用に一時録画を開始した時間からのトータル時間をスライドバーの100%にする設定がほしいですね。直感的な操作をするためにはそういう工夫が必要かと思われます。もっとも、SmartVisionの仕様をみた感じでは、タイムシフトはマウスのホイールボタンで目的のシーンまで巻き戻したりしてくれ、というのが開発者の意図っぽいですけれど。便利なので自分もホイールボタンを使ってますし、それが現バージョンを使いこなす上では正解なのかもしれませんが、ユーザーの使い方はそれこそ人それぞれなわけで、より多くのユーザーの満足度を考えると、このタイムシフトはまだまだ改良の余地がたくさんあるのではないかという部分ですね。
なお、設定が変更できないのがタイムシフト用データの一時保存に使われるフォルダです。SmartVisionは録画用に指定したドライブ(もしかすると空き容量が最大のドライブかも?)のルートにsvrecordフォルダを作成して、そこにデータを記録しているようです。なぜユーザーにその作業用フォルダを指定させてくれないんでしょうね? 勝手にフォルダを作ったりされるのは好ましくないのですが……。
カタログスペック以上の録画設定が可能!
本機のテレビ録画機能としてカタログに記載されているのは、以下のようなものです。これを見るとひと言、疑問の言葉「ちょっとマテ」といいそうになるかも。
MPEG2(高画質モード:720×480ドット(8Mbps CBR)、標準画質モード:720×480ドット(4Mbps VBR)、長時間モード:352×480ドット(2Mbps VBR)、超長時間モード:352×240(1.2Mbps VBR))、MPEG1(ユーザ設定モード:352×240ドット(1.152Mbps CBR))の録画可能。bitcast browserでAVI(240×180ドット(30.6Mbps))、WMV8(240×180ドット(0.33Mbps))の録画可能。
実際にはどうかというと、SmartVisionの設定項目からユーザー設定を見てみると、MPEG2(CBR)では4~15Mbps、MPEG2(VBR)では4~7.5Mbpsが選択可能です。意外にもカタログ表記の8Mbpsをはるかに超える15Mbpsまで対応しています。カタログに「ユーザー設定により最大15Mbpsでの録画が可能」と書いておけばいいのに。たぶん、カタログだけ見た潜在的顧客層は、VAIOなどの他社製品と比べた際に「高画質が8M、標準が4Mってので共通なんだ」と思われてしまうんじゃないかと。確かにDVD-Videoに書き出すのには、ビットレートは仕様上それらが都合いいわけですが。DivX/WMV9/XviDなどで保存しようという人たちを相手にするのであれば、サポートしている仕様上の上限を明記したほうが有利だと思うんだけどね(ビットレート以外にチューナーやエンコーダーの性能でも画質は変わるから絶対的な画質を示すものではないですが)。なんだかよくわかりませんが、開発側と営業側の連絡がうまくいっていないということなんでしょうかね?
番組表はADAMS-EPGとADAMS-EPG+
番組表はテレビ朝日系で放送されているADAMS-EPGを受信するか、インターネット経由でADAMS-EPG+のデータを取得するかということになります。
ADAMS-EPGの場合は放送される時間が決まっているため、EPGデータの受信のために「電源が入っている」「該当時間のチャンネルはテレビ朝日系」という条件が必要です。休止・スタンバイ状態なら起動して自動的に受信を開始しますが、そうでない場合はEPG受信のために見るチャンネルに制約が発生してしまうのがADAMS-EPGの欠点。ダブルチューナーなら問題となることもないんでしょうが……。「この時間ならばテレビを見ていることはないだろう」あるいは「テレビ朝日系の番組を見ている」という時間を受信時刻に設定することになるでしょう。
インターネットに接続している環境であれば、ADAMS-EPG+を利用するという手もあります。番組表取得ボタンを押せば番組表をすぐに取り寄せられるので便利。ただ、毎日指定した時間に自動受信するとか、アイドル時や録画中などに受信するような機能があってもよいような……。常時接続でインターネットを利用しているユーザーならば誰もがほしいと思う機能だと思うのですけど、何でないんでしょうね?
ADAMS-EPG+の利用にはユーザー登録が必要でしたが、2004年11月から登録不要で利用が可能になりました。
おまかせ録画
ADAMS-EPGを受信して番組表を取得している場合は、お任せ録画を使うと録画し忘れがなくなります。キーワードとジャンル、放送局を指定して自動的に条件に該当する番組を録画する「おまかせ録画」を利用すればよいのです。番組表の取得後、自動的におまかせ録画条件に該当する番組を調べ、録画予約に登録してくれるため、放送中止などがない限り大丈夫。毎週見るものなどを登録しておくとよいでしょう。ただし、最大10個しか登録できません。この数は少なすぎると思うのですが……。アップデートで50個ぐらいにまで増えてほしい部分。
おまかせ録画はあくまでもEPG情報を利用するため、番組名をキーワードにする場合は正式なものではなく、EPGに出ている省略されたりしている番組名を登録しないと録画予約が行なわれない可能性があります。絶対に省略されないだろうという部分をキーワードに指定し、誤ヒット防止のためにジャンルや放送局も指定するような感じで登録するというのがよさそうです。
おまかせ録画は設定で指定できる容量を超えると、古い番組から削除されていきます。保存したい番組は別のフォルダへ移動させたほうがよい……と書くつもりでしたが修正。保存したい貴重な映像は、故障や何らかのトラブル発生の可能性を考慮すると、(ハードディスクに残してもかまわないけど)早めにDVDへ書き出して保存したほうがよいでしょう。もちろん、DVDの記録メディアには信頼できる日本製のものを使うべきですね。DVDにしておけば、故障やトラブルなどから解放され安全ということ。
細かい部分での便利さ
SmartVisionは録画中のデータファイルを開くことが可能です。録画中のファイルを開くという行為が危険であることを覚悟すれば、2話連続放送などのときに、2話目を録画中に1話目の部分をMPEG-4系のDivXやXviDなどで圧縮していくことができます。これができるのは当然と思う人も多いと思いますが、SONYのVAIOは少なくとも2003年モデルまでは録画が完了するまで録画したファイルを開けないという制限がありました。少しでも速く処理を完了したいという人にとってはこの部分はかなり重要だと思われます。
ビデオテープからのキャプチャー
古いビデオテープや、お気に入りで万一のために備えてダビングをしておきました、というようなVHSテープからキャプチャーしようとすると、SONYのVAIOだとノイズをコピーガード信号を誤認して録画失敗となることが多かったのですが、SmartVisionはそのようなテープも無事にキャプチャーできました。おかげでだいぶデジタル化が進みつつあります。過去の資産をデジタル化して保存したい人にはSmartVisionはよいかもしれません。たまたまうちのビデオデッキと相性がよかったという可能性もありますが……。すごく貴重な映像であれば、キャプチャーカード単体でSmartVisionを購入して試してみるというのはありかもしれませんね。
SmartVisionの主な設定項目を確認
どのような機能があるのかは、設定項目を見るとある程度推測が可能です。ここでは主な設定画面の掲載とコメントを付けておきますので、それを参考にしてみてください。
録画時には録画予約をした人のユーザーアカウントでWindowsにログオンしておかないと録画できません。そのパスワードを指定するための設定項目です。WindowsNT系のサービスとして提供できなかったんでしょうかねぇ。サービスならばログオンしなくても処理自体が可能な気がするんですけれど。自分の勘違いかな?
TV視聴時の画面設定を行なう部分ですね。本機の場合は出荷時では「ハードウェアビデオアクセラレーション」にはチェックが付いていませんでした。確信を持つほど検証作業をしてませんが、メインメモリが標準より多くて512MB以上あり、BIOSでビデオメモリの設定を出荷時設定より増やしているとチェックを付けたほうが多少改善されるような感じがします。画質調整は各自の好みで変更することになりますが、出荷時設定で問題なさそうであればそのままでよいでしょう。
マウスのホイールボタンによる早送りと巻き戻しの設定を有効にするか無効にするかの設定と、ポップアップヘルプの表示を設定できます。どちらも迷わず有効にしておくべき項目ですね。
タイムシフト用に一時的に保存する番組の保存時間と画質、保存フォルダを指定する部分です。画質の設定はユーザー設定にすると自由度が高くなりますが、DVDへの保存を考慮するのであればユーザー設定によっては再エンコードが発生して画質の低下と処理時間の増大となることに注意が必要でしょう。
再生速度などの設定を行なう項目です。SmartVisionの簡易編集機能を使うのであれば、変速再生を0.5倍以下ぐらいにしておくと上手く処理できてよいかもしれません。
予約関係の設定です。ADAMS-EPGデータの受信や録画後にどのような動作をするかをここで決められます。録画開始時間の調整もここで可能。SONYのVAIOは(少なくとも2003年モデルまでは)4秒前からの録画に固定されていますが、SmartVisionはユーザーの設定で変えられます。録画開始時間の設定が変更可能なのはよいことだと思います。もうちょっと範囲を広げて60秒ぐらいまでにしてほしいところですけどね。放送が時間よりずれることがあるならば、PCの内蔵時計を常に指定秒数早めておくか、録画自体を指定秒数前から行なうようにするかで対応するしかないですから。CSのキッズステーションなんかは(この設定範囲でも対応できない)20秒前から放送が始まるということも何度かあったので。
便利なおまかせ録画の設定項目です。ここで気をつけないといけないのは、録画するドライブの空き容量と、最大保存容量でしょう。まあ、1週間ぶんぐらい番組データを残しておけば問題ないと思うので、録画頻度などに応じて最大保存容量を指定するとよいのではないでしょうか?
DVDに保存する場合にぴったりの容量になるように録画する設定を行なえる部分。本機のドライブ自体は片面二層のDVD+R DL(8.4GB)に対応しているのに、片面一層(4.7GB)の容量までになっているあたりに違和感を覚える人もいるかもしれませんね。
DVD-RAMへ直接保存するための設定部分です。普及率とコストパフォーマンスを考えると、あまり利用されないような気がする部分かも。
ADAMS-EPG/ADAMS-EPG+の番組表で表示するチャンネルは選択可能です。絶対に見ないというようなチャンネルは除外しておいたほうが便利だと思います。番組表で表示するチャンネル数が多いと、1画面内に全チャンネルが収まらなくて調べたいときに探すのが大変になりますし。
番組表の色と文字サイズが変更可能です。色は別にそのままでもよいと思いますが、文字サイズは小さくしたほうが1画面内で見られる情報量が増えるので便利になります。読みやすさも考慮しながら文字サイズを1段階ずつ小さくしてみるのがよいでしょう。
ADAMS-EPGとADAMS-EPG+を使うための設定です。インターネットに接続している環境で毎日番組表取得ボタンを押すならばADAMS-EPG+だけでもよいかもしれません。ちなみに自分は両方使用する設定で、ADAMS-EPGの受信は1日の最終時間帯を指定しています。
時刻修正は使用するかしないかの2択です。高校野球時期など、時報がないこともあるので、この機能で時間をあわせるよりは痛い目にあったVAIO時代に作成した自作の「Adrasteia」で時間をあわせています。
LAN内の別のPCからテレビを見るための設定項目です。LANを構成するネットワーク機器の速度に合わせてレートを調整する感じでよいでしょう。うちはノートPC以外は全機種チューナーがあるので使っていません。他社製品とはたぶん互換性もないと思うので、これに関しては調べていない状態。
バグかな?
おまかせ録画で録画したあとに発生することがあるエラーです。自分の環境が出荷時状態から保存フォルダを変更しているからなのか、それとも64GBという巨大な割り当てのサイズが問題なのか、それ以外の原因なのかわかりませんが、このエラーが出るときがあります。エラー表示があっても録画自体は無事に行なわれているので実害はありません。でも、初心者だとちょっと戸惑いそうな気がしますね、これは。