知っておくと便利な万能プレーヤー
ユーザーがCODECやコンテナを用意しなくても、プレーヤー内蔵のもので一般的なものをほぼすべて再生できてしまうありがたい『KMPlayer』というものが公開されています。再生環境によるのかもしれませんが、動画のシーク時に希にフリーズするので安定性には少々不安を感じていたものの、だいぶ改善されてきたのでおそらく今後のアップデートで解消されそうです。
似たようなCODEC不要のプレーヤーに『VLC』や『GOM Player』がありますが、『VLC』は常用するには癖が強いユーザーインターフェイスで人を選びそうですし、『GOM Player』は本稿の執筆時(2008/05/19現在)の最新版でもアスペクト比情報が埋め込まれたMP4ファイルを正しい縦横比で映像が表示できないためお薦めできません。おそらく将来的には対応するのでしょうけど、再生だけはMP4に対応してからずいぶん経過しているのに基本的な仕様部分がずっと放置されている現状は問題があります。まぁ、Appleの『QuickTime』もアスペクト比をサポートがあやしい感じでしたけどね。orz
『KMPlayer』をダウンロード&インストール
とりあえず、早く見たい動画があるから細かい使い方はあとでいいという人のために、安定版の入手方法からいきましょう。KMPlayerのWebサイトへ行き、ページ上部にある「Download」をクリックしてください。「Release」とついたスレッドがいくつかあるので、なるべく新しいものをクリックします。「KMPlayer ???? Download(?はバージョンの数字)」と表示されているリンクがあるので、それをクリックしてダウンロードしましょう。ただし、インストーラーは日本語表示ではありません。困るほどの英語力は求められないので大丈夫でしょう。
ダウンロードが終わったら、kmp.exeをダブルクリックしてインストールを行ってください。インストーラーの表示言語選択となるので、「Japanese」がなければ「Engligh」でOKを押しましょう。「Next >」「I Agree」を押して先に進むと、インストールするコンポーネント選択画面が表示されます。元々ファイルサイズは大きくないので最近のハードディスク容量を考えればケチケチしないほうが楽なので、初期状態の「Full Install」のままでよいかと思いますが、お好みで「Skins(プレーヤーの見た目変更)」が不要ならばその部分をチェック解除、関連ツールを作ろうという人以外は「SDK」のチェックを解除するぐらいで大丈夫です。「Next >」を押して、インストール先フォルダを選びましょう。通常はそのままで問題ありません。「Install」を押せばインストール作業が始まります。すぐには使わないという人は「Run The KMPlayer」のチェックを解除し、「Finish」ボタンを押して無事完了。お疲れさまでした(笑)。プレーヤー本体は特に何も弄らなくてもメニューが日本語表示なので困ったりしません。すぐに使えるかと思われます。お急ぎの方は『KMPlayer』を起動して、再生したい動画ファイルのアイコンをプレーヤーにドロップしてください。レアなものやデータが破損しているようなものでなければ、購入直後やOS再インストール直後のPCでもほぼすべての動画を再生可能です。
多彩な動画&音声に対応
- 関連付け可能な拡張子
- プレーヤーの上で右クリック⇒オプション設定⇒環境設定⇒関連付け/キャプチャから、このプレーヤーで再生する拡張子を指定できます。「DVD」「音楽CD」にチェックを付ければDVDとCDの自動再生に使えるので、本プレーヤーを気に入った場合はチェックを付けると便利です。以下の拡張子との関連付けをサポートしています。
- ASF/ASX/AVI/DAT/M1V/M2V/MID/MMS/MOV/MP3/MPE/MPEG/MPG/QT/VOB/WAV/WMA/WMV/SMI/PLS/M3U/RA/RM/RMJ/RMS/RAM/RMM/RMVB/OGG/OGM/MKV/RT/SUB/IDX/ASS/SSA/PSB/SRT/S2K/avi_NEO_/IFO/FLAC/AAC/MP4/APE/MPC/AC3/FLV/3GP/TS/TP/CDA/M4A/MKA/MP2/MPA/OFR/DTS/WAX/WVX/WMX/BIN/IMG/ISO/NRG/DIVX/M4V/PART/VP6/SWF/TRP/FLC/FLI
- 対応しているビデオデコーダー
- 内蔵で再生できているビデオは以下の通りです。これだけあれば困ることはほとんどありませんね。ただし、初期状態では無効になっているのもあるため、必要に応じて有効にする必要があります。通常は初期状態のままで困ることはほとんどないはずです。変更する場合は、プレーヤーの上で右クリック⇒オプション設定⇒環境設定⇒フィルタ調整⇒デコーダ使用法⇒内部のビデオデコーダから、基本設定、その他、拡張設定をそれぞれ設定しましょう。DivX6は対応表記がありませんが、DivXに全てチェックが付いている状態ではDivX6で作成されたデータも再生できることを確認しています。
- XviD/DivX3/DivX4/DivX5/Theora/WMV7/WMV8/WMV9/MPEG1/MPEG2/VP31/VP5/VP6/VP6(Flash)/H.263(+)/H.264/AVC1/WVC1/VC1/CYUV/ASV1/ASV2/SVQ1/SVQ3/MS Video1/CinePak/Real Video2/MS MPEG4 V3/MS MPEG4 V2/MS MPEG4 V1/FFV1/VCR1/FLV1/MSRLE/Huffyuv/Digital Video/Indeo3/MJPEG
- 対応しているオーディオデコーダー
- 内蔵で対応できるオーディオは以下の通りです。現状で一般的なもの全てに対応しています。通常は初期状態のままで困ることはほとんどないはずです。変更する場合は、プレーヤーの上で右クリック⇒オプション設定⇒環境設定⇒フィルタ調整⇒デコーダ使用法⇒内部のオーディオデコーダから、基本設定を変更しましょう。
- 旧式のWMA/WMA7,8,9/MP3/MP1/MP2/Vorbis/AAC/AC3/DTS/LPCM/AMR/FLAC/Wave Pack/IMA ADPCM/TTA
- サポートしているコンテナ
- 初期状態で以下のコンテナが再生可能です。携帯電話の3GPはMPEG4なので再生に問題はありません。
- MP3/AAC/RealMedia/Matroska/Ogg/MPEG1/MPEG2(PS)/MPEG2(TS)/MPEG4/MOV/FLV
再生負荷をユーザーが調節することが可能
初期設定では軽いプレーヤーとはいえませんが、再生負荷に影響する部分をユーザー側が簡単に設定することができます。あくまでもこれらの設定は通常再生時のものであり、再生速度を2倍速にしたらCPU性能もメニュー表記の2倍近い性能が求められると思っておいたほうがよいでしょう。実際にはもう少々低い性能でも大丈夫なはずですが簡易的な目安としてはそのような感じです。
- 全員に推奨の設定
- マルチタスクのWindowsでは、急にほかのアプリケーションがCPUパワーを要求してきて、再生中の動画のデコードが遅れてコマ落ちをする可能性があります。CPUの処理速度が高速なほど回避できる可能性は高いといえますが完全ではありません。高性能CPUのPCを使っている人も、万一に備えてプレーヤーの上で右クリック⇒オプション設定⇒環境設定⇒一般設定⇒再生設定⇒プライオリティ(優先度)クラスを「高」にしておきましょう。優先度最高の「リアルタイム」は逆に優先度を落とされたプログラムに足を引っ張られることがあるので、避けたほうが無難です。
- 再生を軽くする設定
- このプレーヤーは再生時の負担を軽くするための設定が用意されています。再生するPC環境にもよりますが重い動画データを再生する場合に、一時的に設定を変更することでデータによっては動きが滑らかになるかもしれません。プレーヤーの上で右クリック⇒ビデオ拡張でポップアップするメニューから、「超高速モード(Alt+F)」「高速モード(Ctrl+Alt+F)」「高速設定 - 500MHz以下」「基本設定 - 一般的なシステム」「高品質設定 - 2GHz」に設定することが可能です。基本的にどのプレーヤーでも再生を軽くする設定というのは画質をある程度犠牲にしてのトレードオフなので、動きがカクつく動画データ以外は基本設定(可能なら高品質設定)を使ったほうがよいでしょう。表示されているCPUクロックの目安は、MPEG4ASP(DivX/XviD)などの場合で、H.264はもっと高い性能を要求していると考えてください。
その他の機能
- 音声付き可変速再生
- 5%刻みで最大300%(3倍)まで音声付き動画再生が可能です。ただし、以前紹介した「音声付き倍速再生で動画を見る方法」のnvplayerと比べた場合、最大速度が3倍までであることと、可変速再生時の音声がやや聞き取りにくい感じなので、可変速再生をしたい場合はnvplayerと使い分けをするほうがよいと思います。
- 動画の画像や音声を取り込み可能
- 再生中の動画の画像を取り込むことができます。プレーヤーの上で右クリック⇒キャプチャ設定に豊富な取り込み方法が用意されているのでぜひ一度チェックしておきましょう。音声を取り込む「音声キャプチャ」、再生している動画をそのままAVIファイルで保存する「AVIファイルでキャプチャ」、静止画を取り込む「フレームを保存」があるので、たいていの用途には十分ではないでしょうか。
- 静止画の保存機能は珍しいものではありませんけれど、再生している動画から音声ファイルをMP3/AAC/Vorbisなどで取り込むことができるのが便利。動画の音楽だけがほしいと思うこともありますからね。さらに、「AVIファイルでキャプチャ」という動画で取り込んでしまうという最終兵器がステキだ。AVIとなっているがメニューを見た感じでは実際には以下のファイル形式、エンコーダで保存することができる模様。AVIとMP4で取り込みを何度か確認済みです。
- ファイル形式:AVI/ASF/MP4/MOV/PSP/3GP/MPEG1(SYS/VCD)/MPEG2(VOB/SCVD/DVD/TS)/FLV/MKV/OGM
- エンコーダ:MPEG4/H.264/AVC/MPEG1/MPEG2/FLV1/DivX3/MS MPEG4 V2/H.263+/MJPEG/Lossless JPEG/WMV7/WMV8/HuffYUV/FFV1/SNOW
- ただし、動画の取り込みはまだ少々不安定っぽい感じかな。うまく取り込めないことがあるので。ビデオは色空間とエンコーダをそのままに、音声もエンコーダと形式を変更しないほうが成功する感触。環境によって異なると思うけど、うちの場合に限っていうと「ビデオ加工の後にエンコード」「音声加工の後にエンコード」としておいてほかはいじらずにファイルの保存形式(AVIとかMP4)を変更するだけというのは成功率が高い気がする。AVIの再編集を行うこと前提で保存するつもりでいたほうがよいかもしれません。
- あとは、本プレーヤーの関連付けの対応状況を見て予想できてしまった人もいるかもしれないけど、URLを開くを使ってネット上の動画ファイルをうまく開けた場合は、その動画をこのプレーヤーは再生しながら保存できちゃう可能性があるわけですね。この機能はなかなか使い出があるかもしれません。
- 映像調整
- プレーヤーの上で右クリック⇒ビデオ(基本)には、上下反転や左右反転といったものがあります。CPUの処理能力に余裕があるのであれば「色滲み除去」を使いましょう。
- プレーヤーの上で右クリック⇒ビデオ(拡張)にはすでに述べた機能以外にも、インターレースのままになっているデータを再生する場合に使える「インターレース解除」や、画質向上のための「ポストプロセッシング」があります。
まとめ
軽さでは『Media Player Classic』にffdshowやデコーダを組み合わせるのが今のところ最高だという印象だし、なぜか本プレーヤーの内蔵デコーダを無効にしてffdshowをデコーダとして使った場合でも『Media Player Classic』のffdshowのほうが画質よいみたいで戸惑うかな。どうも本プレーヤーは内蔵デコーダを無効にしてffdshowを使っても、ffdshowで指定したデコード時設定が一部無視されて再生されているような気がする。ffdshowで指定したフィルタがオフの時のような映像になっているから。
まあ、再生以外の用途でも使える高機能なプレーヤーなので、別のものをメインのプレーヤーにしている場合でもインストールしておくと便利な逸品だと思います。自分もこれはメインのプレーヤーではありませんが、便利なのでサブとしてインストールしているわけです。フリーズ頻度が以前よりもだいぶ下がったのでお薦めできるところまで来たかなということで今回記事として紹介しました。
なんか最近は安定しているVLCばかり使うようになってしまいました。