WinX HD Video Converter Deluxe
(2012/10/04)
動画ファイルの変換ツール『WinX HD Video Converter Deluxe』を試してみました。使用したVersionは3.12.3(2012-9-18)です。対応フォーマットが豊富なので、とりあえず、お手軽に別の形式に変換してみたいというときに役立ちそうなツールといえるのかな。有料の製品ですがLicense Codeを入力しないと体験版として15日間使えるようです。
ファイル形式 | 拡張子 |
---|---|
High-Definition Video Files | .ts .mts .m2ts |
MPEG Files | .mpg .mpeg .mpeg2 .vob .dat |
MPEG2 HD Files | .mpg .mpeg |
MPEG4 Files | .mp4 .m4v |
MPEG4 HD Files | .mp4 |
Video Transport Stream Files | .ts .tp .trp .avc |
Real Media Files | .rm .rmvb |
Windows Media Files | .wmv .asf |
WMV HD Video Files | .wmv |
MKV Files | .mkv |
AVI Files | .avi .xvid .divx |
3GP Files | .3gp .3g2 .3gpp |
Flash Video Files | .flv .f4v .swf |
MPV Files | .mpv |
Camcorder Files | .mod .tod .m2ts |
Quick Time Files | .mov |
Quick Time HD Files | .mov |
DV Files | .dv .diff |
画面の最上部には各種機能ボタンが配置され、その下には使い方の説明、さらにその下は変換目的と変換形式の設定部分となっています。
まずは掲載した読み込み可能ファイルの表を見てください。読み込みできるフォーマットはなかなか優秀です。これならばたいていのものはこのツールで開けますね。まあ、問題は変換がどれぐらいうまくいくのかというのが大きいわけですけれど。
出力はAVI, MP4, WMV, MOV, YouTubeあたり。まあ、AVIとMP4とWMVに対応していれば、プライベートに利用する範囲では困ることもないでしょう。
このツールの最大のメリットは誰でも簡単に使えるということ。販売サイトでは3ステップで変換が開始できるように謳われています。
- Add Fileボタンを押して変換したいファイルを読み込むか、変換したいファイルのアイコンをこのツールの画面へDrag&Dropする。
- 画面中央ほどにあるto XXXボタンで変換目的を選択。その中にあるファイル形式から好みのものを指定しておく。
- Startボタンを押して変換開始。
お手軽ですね。でも画質のほうはあまり期待してはいけないかと思います。なぜならば、品質ベースでの圧縮設定がなく、ビットレート指定しかできないからです。
なお、この手順で変換を開始すると音声がおかしくなるデータがあります。変換したいファイルのClip Informationに表示されているAudioデータが48.0KHzならば圧縮設定のAudio Sample Rateを48000にしないと音が変になってしまうことがあるわけです。この部分は変換元の入力ファイルから自動判別して適切に設定を変更してもらいたいところかな。細かい部分だけど使い勝手を考えるとそれが自動になるだけでずいぶん利便性がUPしますからね。
実際の使用感
どの変換設定にも共通なAdvanced Settingsの部分ではいくつか変更したほうがよい項目があります。CPU Core Useは動画の変換時に使用するCPUのコア数です。自分はCore i7 860を使っているので、物理4コアの2倍の8コアを指定してもよいのですが、動画変換をフルパワーで行なうとほかの作業が重くなるので6~7コアにして試してみました。コア数の上限を指定できるのはいいですね。
でも、前述の音声のサンプリングレートが入力と出力で違うと音が変になる以外にも、バグらしきものをいくつか発見。MPEG-2 TSファイルが変換元だと変換後の映像の左右に黒ベタの枠がついて横長になることがあるし、to General Videoのto MP4やto AVC、to HD Videoのto HD MP4などのMP4ファイルへの変換でVLCでしか再生できないデータを出力する(Windows7のサムネイルで認識されない&Windows Media PlayerとMedia Player Classic Home Cinemaで映像無しの音声ファイルになる)し、音声と映像を同期させるためのオプションであるForce A/V Syncにチェックをつけると逆に音がずれるとか、なかなかクセがあります。入力と出力の組み合わせによってはMP4出力でもうまくのもありましたが、結構試したんだけど不具合の発生条件は把握できずでした。無念。まだMP4形式への出力は不安定という感じなので、主目的がMP4への変換という人には、少なくとも今回試したVersion3.12.3まではお薦めできない感じでしょうか。AVIやWMVへの変換をするのならば映像が表示されなくなるようなことはなく大丈夫でした。変換先のファイル形式にMP4を想定している人は、もうしばらく様子見がよさそうです。
Deinterlacingにチェックをつけてインターレース縞の解除を行なうと、結構きれいに解除してくれるものの、24fpsソースの場合に逆テレシネをしてくれないから動きがカクカクになるから30fps限定という印象。元が30fpsのデータであれば問題ないから変換したいファイル次第という部分でしょうか。Use High Quality Engineを使うと処理速度は落ちるものの画質は向上します。ちなみに、Windows7 64bit版でCore i7 860環境かつ使用コア数が7の場合は、Use High Quality Engineにチェックをつけても1280x720の素材をMP4に変換して40fps以上出ていました。思ったよりも高速かもしれません。
編集して保存してある既存ファイルを別の形式に変換したい際に活躍しそうな本ツールですが、入力ファイルが可変フレームレートのデータだとエラー終了したり変換がうまくいかないようです。まあ、可変フレーム出力をして保存した人は編集が困難になることがわかっているはずで、もうそれを最終データとして作成しているでしょうから変換することがないと思うんですけどね。
いろいろ試してみた感じでは、未編集のMPEG1やMPEG2のデータをHDD内に溜めこんでしまっている人が、できるだけ短い時間で少ない手間でAVI(MPEG4+MP3)やWMVといった圧縮率が高くて小さいサイズでも高画質で保存する目的に特化した製品だと感じました。「もうHDD容量がヤバイけどHDD増設は財政的にすぐには無理」って人を助けるための製品といった感じかな。MP4(H.264/AVC+AAC)はまだ安定していないようですが、将来的には改善されていくのではないでしょうか。
320x240ぐらいの解像度の動画だと変換時に200fpsとか出ているのもあったので、高速なCPUのPCに買い換えた人は過去の動画資産を変換すると結構なHDD容量の節約になる可能性はありますね。再圧縮となるので画質は若干低下するだろうけど、消費容量とのトレードオフで考えると変換を選ぶ人も結構いると思います。
改善されるといいなリスト
過去の資産を変換していく目的ではかなり有用そうな動画変換ツールですが、改善される方向性によっては、将来的に動画の編集段階から魅力的な製品になる可能性を秘めています。とりあえず、アップデートでの更新内容にこういうのが含まれて実際に改善されていくと素晴らしい製品になるだろうなというチェックリストを作っておきます。現行バージョンでは購入判断に迷うけど、将来的にアップデートされた場合はどうなのか気になる人向けの情報でしょうか。
- ビットレート指定ではなく、高画質を狙う品質ベースでのデータ作成への対応。
- 可変フレームレートのデータからの変換への対応。
- 入力ファイルが複数の時に、バラバラに個別出力するのではなく、結合されたデータの作成も行なえるような設定も用意すること。
- 出力範囲指定を細かく正確に指定できるようにUIの改善でフレーム単位で処理できるように編集機能の強化。
- 逆テレシネへの対応。
- 選択範囲の出力だけでなく、複数の不要部分をカットして出力できるように改良。
- 迅速な新デバイスへの対応。
このうち最後の新デバイスへの対応はがんばってやってほしい感じかな。to Androidってどの出力を選んでも、高解像度の設定がないんですよね。自分が使っているXperiaのacro HDとGXは、液晶画面の解像度と同じ1280x720のMP4も、それより高解像度の1920x1080のMP4も再生できるのに、その設定がないんですよ。Androidだと854x480が最大解像度って悲しい。まあ、to PS3 HDで作成すれば再生可能なデータができるものもあるんですけれどね。本ツールはお手軽に(高圧縮への)データ変換をアピールしているのだから、ユーザーが目的としている解像度への変換ができないことがあるというのは惜しいかなと。出力解像度を自由指定できるようにしてもいいんじゃないでしょうかね?
まあ、画質を追求する人にはやや物足りないのではないかと思うけど、それほど画質は気にしていないって人にはかなり便利なツールだと思います。上部のYou Tubeボタンを押せば入力したアドレスから動画サイトにある動画を取得できる機能もありますし。気になったら、まずお試ししてみてから購入するかどうか考えればよいのではないかと。
一応、変換したファイルは即座に正常に変換できているかの確認と、希望の画質かをチェックするようにしましょう。変換処理の速さとお手軽さを考えれば、特定用途ではかなり活躍しそうですね。