YAMAHA PAS Natura S PM26NS
(2012/09/27)
電動アシスト自転車がほしいと最初に思ったのはずいぶん昔のこと。価格が高いのでなかなか購入に踏み切れずにいました。バッテリーと駆動部が重要だろうとの判断で、カタログを見比べてチェックを重ねて、買うのならばYAMAHAの製品がよいのではないかと思うようになったのが20010年初め頃。ただ、長らく大きな変化がなかったのでモデルチェンジが来てほしいと思って買わずに待っていたところ、2011年に8年ぶりのフルモデルチェンジがやってきたのです。しかし、長く使うものだから大がかりな変更の直後に冒険をするのはリスクがあるかもしれないから急がないほうがよいだろうと判断し、もう1年待ってみようと我慢をして2012年モデルを待っての購入となりました。型落ちの安い製品を薦めてくる販売店もありましたが、バッテリーを繰り返し使える回数が2010年モデルまでと比べて2倍になっているわけで、維持費を考えたら初期費用が多少高くなっても新型という判断で安い型落ちモデルという誘惑を断ち切りました。
バッテリー容量が2.9Ahと少なくて一部の機能が簡略化されている廉価版のNatura Tは選択肢から除外。自分の目的は、買い物で重めのものを運んだり、半径15kmぐらいを目処にのんびりとサイクリングしてみようという感じだったので、バッテリー容量4.3AhのNatura Sを選びました。バッテリー自体は互換性があるので、容量が不足するようならば大容量のに買い換えれば大丈夫という仕様に安心してNatura S(4.3Ah)を選んだというわけです。M(6.6Ah)やL(8.9Ah)までは自分の用途では必要ないんじゃないかなと思ったので。買い物とかには一切使わないサイクリング目的ならば、高額ですが「PAS CITY-X」や「PAS Brace L」のようなスポーティモデルのほうがよいでしょう。
タイヤは26インチと24インチは悩んだのですが、うちのマンションのエレベーターは(自転車を斜めに入れれば)26インチでも載せられるようだったから26インチを選択しました。しかし、玄関の中へ入れると思ったよりも場所を取るから24インチにしておけばよかったかなぁ……。駐輪場へ置かずに部屋の中へ入れてしまうのは、電動アシスト自転車が高額すぎることが原因。2012年の現状において、普通に1万円弱で買えるものもある自転車が電動アシストになると8万円オーバーなわけです。自転車の盗難はロックが甘いものや高額そうなものから狙われます。駐輪場に置くのが怖い……。なにせ、うちのマンションは駅に近いから終電を逃した人に狙われるというのがあるようで、3回も盗難にあった人がいるというおそろしい状態なんですよね。そんな駐輪場には高価な電動アシスト自転車を置けません。面倒ですが玄関に入れるという運用をしています。
あと、当然ながらバッテリーは室内で充電しないといけないので、バッテリーを外した状態で駐輪場に置くということになるわけです。自分はバッテリーを取り外した状態での防水性能を過信できないと考えてしまいます。駐輪場からバッテリーだけを部屋に持ち込んで、充電が終わったらまたバッテリーをセットするために駐輪場へ戻るなんてことをするなら、盗難対策を兼ねて室内まで自転車ごと運び込んだほうが手っ取り早いんじゃないのって判断です。冬場はバッテリーの寿命を縮めないようにバッテリーを室内に保管するよう推奨されていますし。でも、このあたりは運用する人によって考え方は異なる部分でしょうね。
YAMAHA PAS Natura S PM26NSの各部をチェック
ハンドルの左側にはメインスイッチと情報ユニットがあります。最初の注意点は電源ボタン。電源を入れていないと、駆動システムの抵抗で後進時に重くなる仕様となっています。まあ、体感でちょっと重いなぐらいなので、気にならない人もいそうですね。ユニット左端の▲▼ボタンでアシストモード「強」「標準」「オートエコ」を切り換え可能です。全力でアシストがほしいならば「強」、通常の利用では「標準」、遠出したい場合はバッテリー節約の「オートエコ」を使うという感じでしょうか。取扱説明書には記述がなかったけれど、販売店の人の話では「オートエコ」はアシストをするのは時速10km以下の時だけと聞きました。それが本当だとすると、電動アシストのメリットがあまり受けられないモードかなという感じですね。発進時と上り坂以外はアシストを受けられるケースが少ないということになりますので。ちなみに、Natura Sは時速24km以上の場合にはアシストを行ないませんので、速度を必要とするならばスポーティモデルの電動アシスト自転車を選ぶべきかと思われます。ライトはLEDの前照灯を点灯するためのボタン。走行中に手元でいつでもON/OFFできるし、電力はバッテリーから供給するので点灯するとペダルが重くなるということもありません。最近増えているセンサーを利用した
ハンドル右側には内装3段変速を切り換えるグリップ式シフターがあります。手前に回すと
前輪にはパーキングストッパーがあり、ハンドルを固定することができます。固定することでハンドルがぐらついたりせず、前かごの荷物を設置しやすくなるといったメリットがあるわけです。重い荷物を載せるときに役立つことでしょう。まあ、完全に固定されるわけではないんですけどね。固定したまま乗るというミスをしないように要注意。
電動アシスト自転車の重要なバッテリーはサドルを支えるフレーム後ろ側にあります。取り外すのには自転車のキーが必要です。解錠すると手前側に倒すようにしてバッテリーを引き抜くことができます。バッテリーの取り外し後は、バッテリー固定の鍵をロックしなければなりません。まあ、室内に自転車を収納するのであればキーを差し込んだままでもよいかもしれませんけれど。屋外に自転車を置く一般的な運用ならば、サークルロックと共用のキーをそのまま取り付けておくのは危険すぎます。取り忘れに注意。ちなみにバッテリーの取り付け時にはキーでロックを解除する作業は不要です。そのまま取り付けられますから。
Natura Sは盗難予防となる装備は後輪のサークルロックのみです。高価な製品なのでほかの盗難対策も行なっておいたほうがよいでしょうね。ちなみに購入時に付属するキーは3個です。なくしても、キーの番号がわかっていれば(有料で)作ってもらえるわけですけれど。
テールランプはセンサーが明るさと振動を完治して自動点滅するようになっています。太陽光で充電しているので、暗所に長期間放置していた場合は正常に動作しないことに注意が必要でしょう。ここで使用されているのは、ニッケル水素ボタン電池(GP40BVH)ですので、電池寿命が来た場合はそれと交換することとなります。
ちなみに、タイヤはブリヂストンのニューマイティロードタイヤでした。
電動アシスト自転車の使用感
最初に驚くのは加速力ですね。信号待ちのあとなどの発進は慣れるまでは焦るほどの急加速です。2012年の段階では、法規制でアシストの上限はペダルを漕ぐ力の2倍までとなっています。すなわち、普通の自転車のつもりでスタートすると3倍の効果となって急発進となるため、安全の確認は慎重に行なうべきでしょう。時速10kmまでは最大のアシストが得られますがそれ以上の速度だと時速24kmまで徐々にアシストが弱くなっていくシステムです。上り坂は速度が落ちるのでアシスト力が強くなり、時速10km以下ならば1/3の力で済むので、たいていの坂道は自転車を降りることなく普通に坂道を登り切れることでしょう。
ほかに乗り始めの最初のうち気になるのは、バッテリーと駆動部があるため、車体が思っているよりも重いということですかね。速度が出ていると、その車体重量から小回りが効かないことに注意したほうがよいでしょう。悪路では車体が重いのと加速力があるために安定することもある反面、接触事故を起こしてしまうと質量的に大ごとになりそうです。不安に感じるならば保険に加入しておいたほうがよいでしょうね。
まあ、通常の自転車を使っていたときの、坂道がつらいとかスタート時に速度が出るまでに意外と力がいるという問題が完全に解消されるから、電動アシスト自転車はなかなかの良品だと思います。
実際のバッテリー消費量
電動アシスト自転車が役立つとわかっていても、どれぐらいの距離まで大丈夫なのかが気になる人も多いんじゃないでしょうか。カタログの数値を鵜呑みにすることができないという人もいるかもしれませんし。そこで実際に運用してみた結果を掲載しておきます。購入直後から夏場の運用結果ですので、バッテリー性能が低下する冬場やはこれらの結果よりもバッテリー消費量が大きいと思ってください。また、購入直後でバッテリーがフルに性能を発揮できている時期というのも考慮しておいたほうがよいかもしれません。
まずはカタログスペックをチェック。アシストできるのはカタログだと強で16km、標準で20km、オートエコで24kmとなっています。テストしたルートはすべて西武池袋線小手指駅 ≫ 目的地 ≫ 西武池袋線小手指駅です。何も記述していない場合は標準モードで走っています。
- 2012-7-21 (17.7km > Use:40%)
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目的地までに坂が多少ある馬車道狭山店へGoogleマップナビの指示通り出発。走行距離は約8.8km。オートエコモードで行ってみました。
戻りは異なるルートを選択。標準モードで走行距離は約8.9kmでした。
往復17.7kmでバッテリー残量は60%の表示。これならば2往復も余裕ですね。
- 2012-7-23 (13.9km > Use:30%)
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全行程がほぼ平坦な道という馬車道所沢店へ出発。標準モードで約7.0kmです。
帰りは別ルートで約6.9kmを標準モードで走行しました。
往復13.9kmでバッテリー残量は70%の表示。平坦な道だとあまりバッテリーは減りませんね。
- 2012-7-25 (6.4km > Use:10%)
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往復とも同じルートでヤマダ電機テックランド入間店へ行ってきました。坂は皆無で片道3.2kmです。
往復6.4kmでバッテリー残量は90%の表示。この程度の距離ならば充電しなくても何度か行けますね。
- 2012-7-27 (24.4km > Use:40%)
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片道12.2kmとなる馬車道川越新河岸店へやや遠出。行きは長い下り坂なので、帰りは上り坂が続く道です。アシストのおかげで坂という感じもなく、普通に走行できました。帰りは日が暮れていたのでライトを点灯しています。
往復24.4kmでバッテリー残量は60%の表示でした。これはかなり意外な結果です。
- 2012-7-31 (10.1+15(?)km > Use:60%)
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この日は坂道を駆け抜けてみようと馬車道武蔵村山店へ向かいました。途中の狭山丘陵越えが最大の難関。距離10.1kmのうち半分ぐらいが急な上り坂と下り坂が繰り返される疲れる道です。さすがにキツいけど、自転車を降りることもなく無事目的地へ到着。バッテリーを30%も消費しました。
さて、帰りは同じようなキツい道を走りたくないので別のルートを検索です。距離10.4km。
帰りのGoogleマップナビで示された上のルートは罠でした。途中で道がなくなったんだもん(笑)。獣道みたいなところを走らされたあげく、右方向ですといわれたところには道はなし。道なりにそのまま進んだらめちゃくちゃ大回りするハメに陥りました。実際に進んだルートはGPSで位置をプロットしているGoogle Latitudeを見ると大変なことに……。ご覧ください。いや~、たぶん5kmぐらいは遠回りしていますね。坂の勾配は少なかったけれど、さすがに真夏にこの大回りはキツかったです。
正確な走行距離は不明だけど、往復で約25kmぐらいでしょうか。バッテリー残量は40%の表示でした。目を疑うほど残っていて驚きです。実際には残量表示30%の直前ぐらいだったのではないかと思いますけれど。
- 2012-8-1 (21.5km > Use:40%)
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馬車道狭山店への走りやすいルートを探して違うルートで12.6kmを走ったところ。
戻りは前回と同じルートを選択。標準モードで走行距離は約8.9kmでした。
往復で約21.5kmですがバッテリー残量は60%の表示でした。おそらく50%に近い残量だったと思われます。
- 2012-8-2 (20.8km > Use:40%)
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ピッツェリア馬車道ふじみ野店へ10.4km走りました。全行程が平坦な道で走りやすくバッテリー消費も少なめ。往復共に同じ道を利用です。
往復で20.8kmでバッテリー残量は60%の表示でした。坂がないと意外に持ちますね。
- 2012-8-12 (21.7km > Use:40%)
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走りやすい道を求めてやや大回りなルートで馬車道狭山店へ。走行距離は12.4kmです。
帰りはナビの案内が遅れて道を曲がり損ね、遠回りをしてしまって9.3kmの行程になりました。途中でナビに逆らい、右へ進んでいるのは泥道回避のためです。あんなおそろしい道は2度と走りたくないと思わされた悪路なのですが、Googleマップナビはよくそこを通らせようとするのです。現地の人と話したときには、雨が降るとその道は数日使えないといわれた道だけに回避するしかありません(笑)。
往復で21.7kmでバッテリー残量は60%の表示でした。
- 2012-8-18 (14km > Use:30%)
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全行程がほぼ平坦な馬車道所沢店へ。標準モードで6.9kmです。
帰りは寄り道をしたので多少の遠回りで7.1kmでした。
往復14kmでバッテリー残量は70%の表示でした。
- 2012-8-20 (18.7km > Use:50%)
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またもや狭山丘陵越えとなるルートをGoogleマップナビが指示していたけど強行。走行距離は9.2kmです。坂道の上り下りは3kmぐらいでしょうかね。
帰りは坂道を少し減らして負担を回避すべく別ルートを検索。暗くなっていたのでライト点灯で9.5kmを走りました。
往復18.7kmでバッテリー残量は50%の表示でした。
- 2012-8-27 (22.7km > Use:50%)
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ほぼ平坦な道だけを通って11.3kmの馬車道花小金井店へ出発。行程の6割ぐらいのところからライトを点灯しました。
帰りはルートを変更してやや遠くなる11.4kmを全行程ライト点灯で帰還。
往復22.7kmでバッテリー残量は50%の表示でした。
行動範囲では陸橋とか多少の坂しかないから、思ったよりもアシストを受けていなくてバッテリーが消費されないものだなという印象です。遠出するときには坂があったり、少しアシストを受けられる時速20kmぐらいでサイクリングをするにはよい感じ。重い荷物を運ぶ場合はアシストを得られるわけで、バッテリー消費も増えるけど日々の買い物での利用に活躍するんじゃないでしょうか。自転車の利用頻度が高い人には電動アシスト自転車はお薦めじゃないかな?
26インチ
24インチ