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LM-M100S

2008年はネットブックやネットトップといわれる必要最低限の性能に絞った低価格のPCが流行り始めました。自分も10月末にネットトップである本機を購入してみたので、2カ月ほど使ってみた使用感を掲載いたします。なんといっても内蔵しているすべての機器をフル稼働させても40W以下の消費電力というのがエコでいいですね。電力計を見たところ、通常だと20W以下で済んでいます。

SPEC
OS Microsoft Windows XP Home Edition SP3
CPU Intel Atom 230(1.6GHz)
MEMORY DDR2 SO-DIMM(PC5300) 1GB
HDD S-ATA 160GB 7200rpm
DRIVE DVD Super Multi
CHIPSET Intel 945GC + ICH7
GRAPHICS Intel GMA 950
RESOLUTION 1920x1200(MAX)
LAN 10/100BASE-TX

コンパクトな本体

本体サイズはわずか60×200×250mmで、本体の横幅は携帯電話の横幅程度、奥行きと高さはA4サイズより一回り小さいというコンパクトさが魅力のmouse computer製ネットトップ「LM-M100S」。出荷時のOSはWindowsXPであるのはネットトップでは珍しくありませんが、DVDスーパーマルチドライブも内蔵しているのが本製品の売りでしょう。別途光学ドライブを用意することなく購入したソフトのインストールができます。これで39800円というのは自作では真似のできないところですね。内蔵HDDは7200prmのものであり、良好なパフォーマンスが出ているのも意外に嬉しい点かな。

キーボードはPS/2接続、マウスはUSB接続のものが付属してきます。接続端子がチグハグですが、USBのキーボードは希に反応が鈍くなる現象が発生することがあるため、それを避けるためにキーボードはPS/2接続となっているのでしょう。キーボードもマウスもごく一般的なタイプのものなので、特殊なキー配列で使いにくいということもないのが嬉しいと感じる人もいるんじゃないかな?

コンパクトな本体にどのような端子が用意されているのかは気になる人も多いと思いますので、端子類のチェックを行ないましょう。本体前面には、最上部のメーカーロゴの下に電源ボタン、右の上部にはDVDマルチドライブとそのイジェクトボタン、下部にはUSB2.0端子が2つとマイクとヘッドホンの端子が用意されています。インターネット向けに売られているネットトップであるため、Skypeやメッセンジャーの音声通話を考慮して本体前面にマイクとヘッドホンの端子があるわけですね。

本体背面のほうは、上から冷却ファン、その下にはシリアルポート(左)とD-Sub出力(右)があります。そしてUSB2.0端子が2つ、キーボードとマウスのPS/2端子、さらにUSB2.0端子が2つと10/100Mbps LANという配置です。さらにその下はマイクとヘッドホン端子があり、最下部はACアダプタとの接続端子があります。モニター出力がD-Subでアナログ出力だけなのが残念。シリアルポートなんかいらないからDVIにしてほしいところ。付属するマウスはUSBですが、PS/2のマウスを繋ぐことも可能という作りです。背面にもマイクとヘッドホンの端子があるのでお好みのほうを選んで使えます。

見ての通り実質的に拡張することはほぼできません。拡張できるのはUSBで接続できる機器ぐらいのものですね。ネットトップに拡張性は不要といえますけれど。何らかの専用機として使う場合は、用途によってはLANが100Mbpsというのがネックとなるかもしれません。もっとも、Gigabit対応NASでも製品によっては7.2MB/sぐらいしか転送速度が出ないものがあるため、CPUに余裕があって100Mbpsの限界近い11.2MB/sが安定して出る本機をファイルサーバーに使うというのもありかなと思います。うちで扱っているファイルは大きくてもせいぜい500~700MBぐらいなので、実際にファイルサーバーとして使っても特に不満を感じたりはしていませんからね。もっと大きいファイルサイズだとメインのPCに直接入れておいて使いますし。

ほぼクリーンな出荷状態

起動してみるとすっきりとした状態になっている点に好感を持てます。プリインストールされているソフトウェアは、セキュリティソフトの『McAfee』、PDFを表示する定番の『Adobe Reader』、DVD関連ソフトの『CyberLink DVD Suite』(Power2Go/PowerDirector Express/PowerDVD/PowerProducer)、検索プラグインの『JWord』ぐらい。DVD関連は再生も書き込みも入っていないと困るものだから入っているのは嬉しいのではないでしょうか。初期状態で不要なのは『JWord』だけだから、それをアンインストールすればすぐにでもOSを自分好みにカスタマイズして使い始めることが可能です。

少々気になるのはリカバリーディスクがないこと。リカバリーはHDDから行なうようになっていて、PCの電源投入直後にF3キーを押すことでリカバリーができる。リカバリーディスクの作成は行なうことができないようなので、HDDが壊れた場合は少々やっかいなことになるかもしれません。

制限と処理速度の改善方法

必要最低限の性能に絞り込んで低消費電力を狙っているAtomは意外にも使えるCPUであり、同クロックのPentium Mより若干劣る程度の性能があるので、2004年頃のモバイル中位~上位機種ぐらいのCPU性能があると考えて大丈夫じゃないでしょうかね。そのため、条件付きであれば常用するPCにもなり得るので節電することができます。その条件とは今のところ以下のような感触です。

  1. H.264/AVCのMP4ファイルの再生を行なわない(SD解像度720x480でも希にコマ落ちする)
  2. ブラウザをFirefoxかGoogle Chromeにする
  3. 無駄なエフェクトなどの処理を減らす
  4. 3D機能を利用するようなソフトを使わない

1はDivXやXvidで作成された動画は再生できるものの、H.264/AVCをデコードするにはAtomは非力といった感じです。これは割り切るしかありません。Xbox360やPS3を持っている人はそちらでMP4を再生するという手もありかと。2はGmailやGoogle ReaderのようにJavaScriptを活用したAjaxを多用するサイトではXP標準のInternet Explorer 6では遅く感じます。動画再生と3Dゲームなどをしなければ特に問題はなさそうです。

ネットをメインで使うのであれば、ブラウザを最低でもInternet Explorer 8にしておきたいところです。アップデートすることでJavaScriptの処理速度が向上して体感的にマシになりますから。それとブラウザのツールバー(YahooやGoogleや楽天など)は重くなるのでインストールしないほうがよいでしょう。でも、Internet Explorerに拘らなければJavaScriptが圧倒的に高速なFirefoxGoogle Chromeを使ったほうが快適です。かなり体感速度が向上します。

また、予算に余裕があるのであれば、処理が重い『McAfee』をアンインストールして、軽さに定評のある『ESET Smart Security』に乗り換えたいところ。これは結構効果があります。

細かいところでは、デスクトップで右クリックして「デザイン」を選んで「ウィンドウとボタン」を「Windows クラシックスタイル」にし、効果ボタンで「次のアニメーション効果をメニューとヒントに使用する」のチェックを解除して余計な画面描画を減らすように設定を変更しておきましょう。多少とはいえ速くなるようにしておいて損はありません。

ファイルサーバーとして運用中

省スペース&省電力というわけで、本機の購入目的はずばり自宅のファイルサーバー。なにしろうちは、LAN接続のHDD(NAS)はすでに3台お亡くなりになるか絶不調になるかで引退となっているので、自分はNASを信用できません。もうファイルサーバーはPCで運用するしかないとの決断で専用機を必要としていたのでした。

贅沢をいえばLANがGigabitであればよかったんですけどね。転送に時間のかかるGB単位のファイルはほとんどない(もしくは特定のPCでしか使わない)ため、それほど問題にはならないだろうとの判断で、比較検討していたEee PCではなく本機を導入。GigabitのLANよりも光学ドライブ内蔵のほうが光メディアにバックアップをしたいときに直接書き込みができてメリットとなるからね。

運用してみてファイルサーバーのみに使うのはやはり過剰スペック。高速化のために工夫する必要すらありませんでした。初期導入費用はやや高くつくものの、USBでHDDを接続すればNASを増設するより長期的には安くなるかな。取引先とのやり取りでFTPが必要となるようなケースでも、NASよりも使い勝手のよいFTPサーバーを用意できるのもメリットですね。

主にファイルサーバーとして運用しているとはいえ、CPUパワーが求められるような用途以外は本機で済ませてしまって節電というケースも増えてきました。思いのほかにAtom環境は活躍しています。専用機としては予想通り過剰スペックだったけど、たいていのことはAtom環境で済ませられて結果的にだいぶ節電できているという副産物は嬉しい誤算です。

サーバー用途はNGでした!

(2010-04-08追記) 普段はサーバーとして使っていていじらないPCのケースなんか気にしていないから気付くのが遅れたけれど、大変なことになっていました。右の写真を見てください。本体ケースの一部が変色しています。触ってみると別に熱くはないですが、若干変形していることを感じられる状態です。放熱不十分でこのようなことになったのではないかと予想。本体周辺は空間を空けていたから、うちの設置場所の問題ではないはず。

どうやら本機はmouse computerが常時電源を入れて使うというサーバー用途を考慮していなかったものと思われます。省電力のAtom搭載PCで省スペースとくればサーバー用途で使いたい人もいるはずなんだけどね。本機はそのような用途には向きませんということで……。まあ、発売からずいぶん経過しているので今さらNGとわかっても手遅れでしょうけれど一応報告しておきます。