eBoostr
Windows Vistaで用意されたSuperFetchとReadyBoostと同等の機能をWindows 2000/XPで実現できるツールがこの「eBoostr」。SuperFetchとは、利用頻度の高いファイルをあらかじめ空きメモリ上に読み込んでキャッシュしておき、ソフトウェアの起動を高速化するための技術です。ReadyBoostはUSBメモリやSDメモリなどのハードディスクよりもランダムリードが高速なデバイスをキャッシュとして利用し、動作の高速化を狙う技術だといえます。これらの技術を使ってPCの体感速度を向上させられる可能性があるわけです。本稿執筆時の最新バージョンは3.0(build 491)でした。
※すでにメジャーバージョンアップしていますので、旧バージョンの記事となるため参考程度の情報になります。
まずは試用してみよう
採用している技術の特性上、「高速なCPU」「3GB以上のメモリ」「高速なハードディスク」を使っていると、あまりeBoostrの効果を体感できないと思います。逆にAtomを採用したネットブックやネットトップあたりのPCでは効果を期待できるはずですね。使っているPCでどれぐらい効果があるのかを購入前に把握するため、まずは試用することをお薦めします。
試用中でも機能に大きな制限はありません。Windows起動時に試用中である旨が表示され、続行ボタンを押す必要があるのと、起動から4時間しか機能しないというだけです。4時間経過したらWindowsを再起動すればまた4時間使えます。そのため、じっくりと各機能を試すことができることでしょう。場合によっては試用だけで十分使えると感じる人もいるかもしれません。
インストールと初期設定
まずは試用版をダウンロードしてください。メールアドレスの欄はメールマガジンを受け取りたい人だけが入力する部分ですので、不要ならば何も入力せずに試用版ダウンロードをクリックしてダウンロードします。ダウンロードが完了したらインストールしましょう。
ダウンロードしたファイルを実行すると、セットアップウィザードが始まります。次へを押すとライセンス契約書が表示されるので読んでください。問題がなければ同意するを押して先に進みましょう。
インストール先フォルダの選択になるので、必要であればインストール先のフォルダを変更してください。そして次へを押して先に進みます。スタートメニューの登録先の指定となるので、これも必要ならば変更しましょう。このあたりは特に変更しなくても問題ありません。準備ができたらインストール を押してインストールを開始します。
ファイルのコピーが始まり、eBoostrがセットアップされていきます。しばらく待っていると無事終了して、コンピュータの再起動を求める画面へ切り替わります。再起動しないと使うことができないため、必ず再起動してください。
コンピュータを再起動すると、購入するまでWindowsを起動するたびに登録画面が表示されるようになります。試用する場合は続けるボタンを押しましょう。4時間だけ試用することができます。
試用した結果、効果大と判断できた場合は購入ボタンを押せば購入ページへ行けます。楽天の会員の人は、直接購入するよりも楽天ダウンロードしたほうが楽天のポイントが貯まってお得ですね。楽天で購入した場合はメールで「登録番号」が送られてくるので、ライセンス取得ページで登録手続きをしてライセンスキーを発行してもらい、登録の欄にライセンスキーを貼り付けてOKを押せば製品版として動作するようになります。
その後は初回起動確認として、その場でキャッシュのデバイスを有効にするか聞かれますが、これには「いいえ」を選んで先に進みましょう。そして、スタートメニュー内のeBoostrからeBoostrコントロールパネルを開くか、通知領域のをダブルクリックして設定を行ないます。
2GB以上メモリがあるならシステムメモリを活用
使っているPCのメモリ搭載量が2GB(Vistaなら3GB)以上あるのであれば、eBoostrコントロールパネルで追加ボタンを押して、デバイスの選択でシステムメモリ(C:¥)を選び、キャッシュをメモリ上に確保しましょう。確保するキャッシュサイズは初期状態のままでかまいません。しばらく使ってみて、変更したほうがよいと感じたら設定を変更するといった感じでよいでしょう。
この設定は、Windows Vistaから用意されたSuperFetchと同等の機能に利用され、メモリ上によく使うファイルがキャッシュされるようになるため、アプリケーションの起動が高速になります。うちではCore 2 Duoの環境においてもAdobe Readerの起動時間がだいぶ短くなることが体感できました。また、XP起動時に希に起こる常駐アプリがエラーを起こす現象がなくなったのがちょっと嬉しいかも。
PCのメモリ搭載量が1.5GB以下であるならば、システムメモリはキャッシュに割り当てないほうがよさそうです。逆に3GB以上のメモリを搭載しているのであれば、システムメモリにキャッシュを割り当てるだけにして、フラッシュメモリはキャッシュに使わないほうが快適になります。
フラッシュメモリを活用
USBメモリ(やSDカードなど)をキャッシュとして使用するのであれば、eBoostrコントロールパネルで追加ボタンを押して、目的のフラッシュメモリをキャッシュに割り当てましょう。ただし、使用できるフラッシュメモリは容量が1GB以上の製品という制約があるようです。ここで設定するキャッシュは、Windows Vistaから用意されたReadyBoostと同等の機能であるため、USBメモリはReadyBoost対応となっている製品など高速なものを使用するほど効果が大きくなります。持っているUSBメモリがどれぐらいの速度なのかはCrystalDiskMarkなどで性能を調べてみるとよいでしょう。(デフラグでフラグメントをなくしておけばランダムアクセスじゃなくなるため)重視するとよい部分は4K(Random4K)の結果数値です。その数値がハードディスクよりも高いほど効果が体感しやすいといえます。
ReadyBoostはハードディスクの代わりにフラッシュメモリ上にキャッシュしたデータを読み込むことで、ハードディスクでは時間がかかるシークタイムを隠蔽することで高速化を狙っているため、いくつかの点に注意が必要です。ひとつは、十分な量のシステムメモリをキャッシュに割り当てている場合は速度の向上を体感できないどころか、フラッシュメモリに足を引っ張られてシステムメモリのみの場合よりも体感速度が低下するということ。2点目はハードディスクの代わりにSSD(Solid State Drive)を使っているPCでは意味がないこと。
技術的特性を考慮すると、ネットブックのようにメモリ搭載量に制約があるPCであれば、USBメモリをキャッシュとして利用することで処理速度の向上が期待できるだけでなく、ハードディスクへのアクセスが抑えられて消費電力が減少してバッテリー駆動時間が伸びるといったことも期待できるといえます。PCの搭載メモリが少ない場合に使用するとよい機能だといえるでしょう。
デバイス設定変更時の注意
キャッシュ容量を変更する場合は、いったんメニューバーの編集からキャッシュの停止を実行してeBoostrを一時的に無効にしましょう。そして削除ボタンで変更したいドライブを削除してから追加ボタンで再登録し、メニューバーの編集からキャッシュの再開を実行します。この手順で行なわないと、PCを再起動するまでUSBメモリを見失うことがありました。
より快適にするためカスタマイズ
eBoostrコントロールパネルのメニューバーからオプションの除外リストを選んで、キャッシュしないファイルを指定しましょう。キャッシュする必要のないデータファイルなどをワイルドカードを使用して指定していくわけです。ドライブ名とフォルダ名にはワイルドカードが効かないようなので、それらは正確な指定が必要となります。以下に除外しておくとよさそうなファイルの一覧を示しておくので参考にしてください。
- 動画ファイル
- *.3g2
- *.3gp
- *.asf
- *.avc
- *.avi
- *.dcr
- *.dir
- *.dxr
- *.flv
- *.m1v
- *.m2p
- *.m2t
- *.m2ts
- *.m2v
- *.m4v
- *.mkv
- *.mov
- *.mp4
- *.mpeg
- *.mpg
- *.ogm
- *.qt
- *.rm
- *.swf
- *.ts
- *.vdo
- *.vob
- *.vro
- *.wmv
- *.wrl
- 音声ファイル
- *.aac
- *.aif
- *.aiff
- *.ape
- *.au
- *.flac
- *.m4a
- *.mid
- *.midi
- *.mp2
- *.mp3
- *.ogg
- *.pcm
- *.ra
- *.ram
- *.rmi
- *.wav
- *.wma
- 画像ファイル
- *.bmp
- *.emf
- *.gif
- *.jpg
- *.jpeg
- *.mag
- *.mki
- *.pi
- *.pic
- *.pic2
- *.png
- *.q0
- *.q4
- *.tga
- *.tif
- *.tiff
- *.wmf
- 書庫ファイル
- *.7z
- *.cab
- *.gca
- *.lzh
- *.msi
- *.rar
- *.sit
- *.tar
- *.tgz
- *.z
- *.zip
- 文書ファイル
- *.chm
- *.css
- *.csv
- *.doc
- *.dot
- *.eml
- *.hlp
- *.htm
- *.html
- *.jhd
- *.jtd
- *.log
- *.mdb
- *.mht
- *.msg
- *.pot
- *.ppt
- *.reg
- *.rtf
- *.txt
- *.wri
- *.xsl
- その他ファイル
- *.ani
- *.bak
- *.chk
- *.cur
- *.ico
- *.img
- *.inf
- *.iso
- *.old
- *.org
- *.tmp
- *.temp
- システム
- C:¥RECYCLER
- C:¥System Volume Information
- D:¥RECYCLER
- D:¥System Volume Information
- E:¥RECYCLER
- E:¥System Volume Information
- F:¥RECYCLER
- F:¥System Volume Information
- G:¥RECYCLER
- G:¥System Volume Information
- H:¥RECYCLER
- H:¥System Volume Information
- I:¥RECYCLER
- I:¥System Volume Information
- J:¥RECYCLER
- J:¥System Volume Information
- K:¥RECYCLER
- K:¥System Volume Information
- C:¥Documents and Settings¥All Users¥DRM
- C:¥Documents and Settings¥Default User¥Local Settings¥Temp
- C:¥Documents and Settings¥Default User¥Local Settings¥Temporary Internet Files
- C:¥Documents and Settings¥LocalService¥Local Settings¥Temp
- C:¥Documents and Settings¥LocalService¥Local Settings¥Temporary Internet Files
- C:¥Documents and Settings¥NetworkService¥Local Settings¥Temp
- C:¥Documents and Settings¥NetworkService¥Local Settings¥Temporary Internet Files
- C:¥WINDOWS¥$NtServicePackUninstall$
- C:¥WINDOWS¥inf
- C:¥WINDOWS¥Installer
- C:¥WINDOWS¥msdownld.tmp
- C:¥WINDOWS¥Temp
たぶん、これぐらい登録しておけばよいんじゃないかと……。いちいち登録していくのは手間であるため、C:¥Documents and Settings¥All Users¥Application Data¥eboostrにあるexclude.iniを書き換えたほうが早いと思います。必要でしたら、上記設定のexclude.iniをどうぞ。
この除外設定とは逆に、eBoostrコントロールパネルのメニューバーからオプションにある優先アプリケーションを選んで、優先的にキャッシュしたいファイルを指定することができます。よく使うアプリケーションがあれば、右側にリストアップされているアプリケーション上でマウスの左ボタンを押し、左側の欄へ移動させてマウスのボタンを離して登録しましょう。特にここで設定しなくても、普段から頻繁に使われているアプリケーションは自動でしだいに優先的な処理が行なわれるようになっているようなので、面倒ならば設定しなくても大丈夫です。
購入しちゃった
結局試したあとにどうなったのかの報告を……。数日間じっくり使ってみてからアンインストールをしたところ、うちで試用してみたPC環境ではアンインストール後に体感速度が遅くなるのを確認できちゃったので、思い切って楽天ダウンロードから購入してしまいました。自分はちょうど楽天のポイントが3000ポイントぐらいあったから、実質的な出費が少なくて済むというのに後押しされた面もあります。Prefetchでのエラーが出なくなったのが一番嬉しかったかな?