SA700iS
FOMA初のGPS搭載機で、約6年ぶりぐらいの三洋電機製ドコモ向け携帯電話です。親が携帯電話をmovaからFOMAに変えたいというときに付き合って向かったところで、ふと目に付いたのがこのSA700iSでした。GPS関連機能は初めて行く場所で役立ちそうだし、デザインもどちらかといえば好みのほう。何よりも実機が触れて、そのときの感触がグッドだったのです。ボタンを押すと瞬時に反応するというFOMAとは思えぬ機敏さ。N902i/P902iも機敏になったという話なので、いつもならばN902iあたりにでも突撃していたところですが……。出たばかりで高くて失業中の身では手が出せませぬ。その点、こちらSA700iSは「ノジマ 所沢本店」でFOMAの買い増しが3800円だったのですよ。
普段からカメラは携帯電話を使わず、薄型デジカメを使っているのでカメラの性能は気にしません(本機は103万画素:1160x870)。おサイフケータイじゃないのが気になるけど、Edyを使いたいときはFOMAカードを付け替えればいいから問題ないかなという判断です。FOMAカードの差し替えなんてたいした手間じゃないですからね。サクサク快適動作に釣られて買ってしまいました。本機購入前週の某日に184000円で買い、翌日189000円で売れたNTT DoCoMoの株の売却益で購入したという感じだったり。購入価格はドコモのポイントを使ったので2650円とかなりお買い得だったかも。
データの移行
店ではデータの移行を行なわず、miniSDカード経由で電話帳やBookmarkなどを移動。別にこれは赤外線でもいいと思うし、最近の携帯電話ならば店にデータ移行を頼まなくても全然問題ありませんよね。さすがに登録したユーザー辞書は移行できないけれど。昔に比べてだいぶ楽になっている感じはします。
スペック
- サイズ(高×幅×厚)
- 101×51×25mm
- 重さ
- 117g
- 連続通話時間
- 140分(テレビ電話は90分)
- 連続待受時間
- 250時間(静止時330時間)
- 画面
- 240×320(65536色2.2インチTFT液晶)
使用感
SA700iSの充電台は携帯を立てておく感じのスタイルになっています。充電台に置いている状態でも、携帯を開閉して大丈夫ですね。使い勝手を考えると、開いた状態で充電するというのがよいかもしれません。これならば、常時点灯設定の充電器接続をONにしておけば画面をいつでもみられますから。カチッとはまるので、地震などで揺れても充電台から落ちることはおそらくないと思います。立てて使っているときにもUSB接続をする端子は左側にあるので使用上まったく問題なし。miniSDカードリーダーモードでカード内のデータをPCからいじるときも安心です。
まずこのSA700iSを使って嬉しいのは、ボタンを押すと瞬時に対応してメニューが実行されていくことでしょう。初期の機種である2x0x時代はもとより、900あたりになってもFOMAはmova時代と比べてあまりにも各機能の反応が遅くて、待たされることもしばしばありました。それが全然待たされないというのは使っていて嬉しいですね。まあ、カメラとか起動(初期化)に物理的時間の掛かる機能だけはちょっと待たされますけれど。普通のメニューは瞬時に反応してくれるのが使っていて快適です。
待ち受け画面のほうは、普通にQVGA(240x320)の画像を待ち受けとして使え、その上に重ねてカレンダーを表示できます。カレンダーは1カ月だけでなく、2カ月、3カ月、4カ月といった表示も可能です。これは便利だと感じるシーンもあるかもしれません。来月のカレンダーを見たいというようなケースはそれなりにあるでしょうし。カレンダーの位置は方向キーで動かして好きな位置に置くことができるのもいいですね。待ち受け画像にあわせて位置を変えることができるのはこだわり派の人に嬉しい機能かもしれません。
ボタンのほうは、サイドボタンがやや押しにくい感じがします。「サイドボタンはどこ?」となってしまって……。もう少し凹んでいて触った感じでわかればいいんだけど、慣れればサイドボタンの位置は大丈夫かなぁ。少々気になるのは方向キーですね。ちょっと小さいから押しにくい感じがします。個人的には、確認の「はい」「いいえ」がボタンの1と2でショートカットできるのが嬉しいかな。NEC製の携帯電話だといちいち選んで決定を押さないといけないので面倒なんですよね。
人によっては一番重要となりそうなのは、アプリまわりでしょうね。FOMAのリッチなアプリは90x系がターゲットで、70x系は未対応というのがありますから。アプリを多用する人にはシリーズ的にお薦めできません。
あと、カメラ機能にはトラップがあります。撮影設定は解像度などは次回も記憶してくれていて同じモードになるようですが、なぜか「ライト/フラッシュ」の設定だけは毎回「フラッシュAUTO」となってしまうのです。毎回周囲の光量から判断して最適な処理を行ないたいということはわかりますが、ライトの点灯やフラッシュを使いたくない(いらない、あるいはフラッシュなどはまわりに迷惑)というケースもあるわけで。利用シーンによっては設定の確認をしないと自動でフラッシュが焚かれるというのは戸惑いを感じる利用ケースがありそうです。まあ、自動的に明るさから判断してフラッシュを使ってくれるのは初心者からすると便利なんだろうとは思いますけど。おそらく大衆向けの70xシリーズならではの設定なんでしょうね。
動画撮影はQCIF(176x144)かSub-QCIF(128x96)の解像度のみ。編集機能はカット、切り出し、テロップなんかの基本的なもの以外にアフレコなんてユニークなものがありました。メールに動画を添付したりしている人たちには楽しみ方が増えるんじゃないかという気がします。
GPSまわり
本機の特徴は一番下のGPSボタン。これを押すとGPS機能を直接呼び出せます。初めて訪れる場所への道案内をしてほしいならば、ここでナビゲーションを選びましょう。「100メートル先を右」というように音声で指示を出してくれます。画面に表示する地図情報のためにパケット代が必要となりますが、屋外でのナビゲーションはかなり正確な位置を取得できるので、道に迷うようなことはおそらくなくなるはずです。終電を乗り越して2~3先の駅まで行ってしまったという場合も、このナビゲーション機能を使ったら楽々と歩いて戻れそうな感じ。結構使えそうな印象です。GPS機能では現在位置確認や家族などへの位置情報の定時報告なんかも可能ですけど、そこらあたりはあまりボタンとは直接関係がありませんね。ただ、ちょっと気になるのはGPSで使っているサイトは2008年12月末までという期限付き提供だということ。その後はどうなるんでしょうねぇ。非常に不安です。無料期間がそこまでで、その後は頻繁に使う人向けの情報料が月額300円だとか、あまり使わない人向けの従量制の1回利用あたり50円とかそういうので継続されるならばいいんだけど。2年しかGPS機能が役立たないとなると、GPS目的の人は様子見のほうがよいかもしれない気がします。
GPSは測位レベルに注意が必要です。★★★ならば誤差50m未満、★★ならば50m以上~300m未満、★だと300m以上で使い物にならない精度となります。GPSは衛星からの信号を受信するものだから、屋内で使うなんていうのは使い方が間違っていて問題外。屋外でも高い建造物が多い場所では衛星から情報を受信できなくなったりして精度が落ちることがあります。普通に歩きながら使えば誤差10m未満ぐらいの精度で利用可能です。
なお、GPSで測位したときに時刻を合わせてくれる機能があります。出荷時はオフなのでオンにしておいたほうがよいでしょう。パケット代はGPSの現在位置確認を実行しただけでは発生しないので、時間をあわせたいときには屋外でGPSボタンを押してみるとよいのではないかと思います。パケット代は現在地確認後に何か処理を実行する際に発生するので、時刻を合わせるためだけにGPSを利用して、測位レベルが表示されたところでキャンセルしてしまえば無料で済むことを覚えておくとよいかもしれません。
デザイン的な仕様など
本機の下部を見てみるとFOMAのロゴの下にスピーカーがあり、その右下にストラップ取り付け部が用意されています。このようになっていますが、アンテナはどこにあるのかというと、FOMAロゴやスピーカーの右のあたりがその部分。携帯電話は無線を利用しているわけですが、無線は水中では急激に伝達力が低下するという特性があります。人の体の60%は水分というわけで。すなわち、携帯電話を持つときにその内蔵アンテナ部分あたりを手で持ってしまうような癖がある人は、本機の感度が落ちると思うのでこの機種には向かないかもしれないですね。N901iCでは圏外だった部分が圏内だったりするのに、その逆もあったりしてアンテナ感度はなんとも微妙。圏外になったあとの復帰がほかの機種に比べてやや遅い気がします。アンテナ位置の問題なのかチューニングの問題なのかは不明。GPSのナビゲーションで通りがかった結構開けている所沢中学校付近で圏外を2~3回見たのがやや気がかり。
文字入力
文字の入力は通常の入力と2タッチ(ポケベル)入力の2種類です。#ボタンで逆順入力になるし、まあT9のような先鋭的なものはないけれど、入力まわりは悪くはないと思います。先読みしての入力予測も意外と高い精度で使いやすいです。しかし、何よりも嬉しいのは、入力した文字の確定をミスって「あぁーそれ、ちょっと待ってよ。間違えたから再変換」ってときに使える「元へ戻す」機能があることですね。ミスの直後に使うと確定直前の状態に戻ります。これはかなり便利ですね。まさにWindowsのIMEなんかでいうところの確定UnDo機能ですよ。携帯電話で文字を入力していれば誰でも欲しいと思う機能だろうに、意外に実装している機種って少ないですよね。そのあたりを考えると文字の入力まわりも本機の実用性は高いほうではないかと思います。ただ、「つ」を「っ」のように小さくするためのボタンが濁点のボタンと共用になっているのは入力効率的にイマイチな感じ。そのまま小さい字が出るまでその行のボタンを押したほうが早いかも。予測変換機能が「っ」の部分が「つ」であっても入力補正して予測候補を出してくれればまだマシになるんだけど、そういう配慮はないので正しく変換しておかねばなりません。
ボタンの長押し
- 0~9の数字ボタン
- その行の電話帳を呼び出す
- 方向キー上
- 新規電話帳登録
- 方向キー左
- 受信アドレス履歴
- 方向キー右
- 送信アドレス履歴
- 決定ボタン
- サイドキーの有効・無効切り換え
- 左ソフトキー(メールボタン)
- メール作成
- 右ソフトキー
- アプリ一覧
- テレビ電話ボタン
- カメラ機能
- TASKボタン
- 現在地通知
- GPSボタン
- 現在地確認
- サイド▲ボタン
- +付加(国際電話用)
- サイド▼ボタン
- 電話帳やメールやテキストメモの音声読み上げ
意外に役立つ機能
ボイスレコーダー機能があり、miniSDカードにならば最大120分まで録音可能です。説明書によると対応しているminiSDカードは512MBまでのようですが、カメラの画素数やボイスレコーダーなどの上限を考えると、そこまでの容量を使うことはまずないでしょうねぇ。自分は普段128MBのを使っているけど、これまでも不足を感じたことはないし、たぶんこれからも不足は感じないんじゃないかと思います。
本機の設定をプリントモードにすると直接USB対応のプリンタで印刷することもできるようです。100万画素では大きなサイズで印刷するのに向かないから微妙な感じではありますが、葉書サイズ程度ならばおそらく問題ないと思われます。
改善を求めたい部分
「ちょっとそれは勘弁!」と思うのが背面ディスプレイです。これ、日付や時間を表示できるのは当然ですが、この背面ディスプレイはなんと通常非表示。サイドボタンを押さないと表示されません。そのため、携帯電話を時計としても利用しているような人には不便な仕様となっています。唯一の致命的な欠点だと思うんだけど、ソフトウェア更新で改善できないんでしょうかねぇ。
まわりでは時計としても使っている人だと常時表示設定がないのは不便という意見が多いんだよね。待ち受け時間を延ばすためなんだろうけど、毎日充電するから待ち受け時間なんかそんなに気にしないという自分と同じ意見を持つまわりの知人たちの間では常時表示ができない機種は不評。「出荷時設定は節電のため非表示でいいから、常時表示の設定も用意しておいてくれよ」というわけです。
現在の仕様では背面ディスプレイの時計はあきらめるしかないかもしれませんが、メールや電話の着信があったのかという部分については、着信があれば背面のランプが点滅するように設定できるので、背面ディスプレイの表示状態に関係なく着信の有無をユーザーが知ることは可能です。
あとはカレンダー機能が待ち受け画像によっては今日が何日というのがわからないので(1カ月表示以外)、カレンダーの表示に当日の日付の数字を太字にするとか、枠で囲っての目立つ色での塗りつぶしとか、目立つようにしたほうがよいんじゃないかなという気がします。
トータルで見ると、個人的には改良を加えて次はぜひアプリも完璧な90x系での発売をお願いしたいですね。期待して待ってますのでぜひ頼みます。
使用期間
2005年12月12日~2007年末まで。FOMAカードを付け替えてその日の気分でN901iCと使い分けました。未知の場所へ行くときにはSA700iSでしたけど。