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SMTPサーバーを自前で用意する

Windows XP

迷惑メール防止のため、POP before SMTPを採用したり、他社プロバイダ経由でのSMTPを禁止するのが一般的です。POP before SMTPならばそれほど問題ありませんが、ホットスポットなど出先からメールを送信したいという場合に、他社プロバイダからは禁止されていると困る場合があります。また、1通の送信サイズが2~5MBほどに制限されていると困ることもあるかもしれません。サイズ制限の場合は分割送信するかMSN MessengerなどのIMかFTPで受け渡しすべきですが……。深刻に影響を受けるケースがあるとすれば、独自ドメインで取得したメールアドレスが、受信のみ対応で送信はプロバイダのSMTPサーバーを使ってくれという場合でしょうか。そのようなことは現実的に困難なので、自前SMTPが必須といえるでしょう。

個人的には、基本料金0のダイヤルアップのみの契約でメールアドレスだけ持っていたぷららのアドレスでメール送信したい場合に使っていた手順。受信は他社プロバイダでOKだけど、SMTPには接続が必要なので、自前SMTPがないと使いにくいわけですね。もっともそのアドレスの送信頻度は数カ月に一度程度ですが……。POPメールアドレスを無料でほしいという場合に役立つかもしれません。メールサーバーが安定していないというケースで送信だけでも確実に行ないたいというときに役立ちますが、いずれにしても知っておいても損はないという程度でそれ以上ではないですね。

SMTPサーバーを導入する

Windows XP(Home Editionを除く)には標準でSMTPサーバーが用意されています。コントロールパネルプログラムの追加と削除を開き、Windowsコンポーネントの追加と削除を選びましょう。インターネット インフォメーション サービス(IIS)をクリックし、詳細ボタンを押してください。SMTP Serviceがあるのでそれにチェックを付けます。このときSMTPに関連する必須サービスにもチェックが付けられますがそのままOKを押し、次へボタンを押してインストールを実行しましょう。

IISを選択。SMTP Serviceをインストール。

インストールが終わったら、スタートからファイル名を指定して実行を選びます。もしくは、Winキー+Rキーのショートカットでも可。%SystemRoot%\system32\inetsrv\iis.mscと入力して実行してください(あるいは、スタート→コントロールパネル→管理ツール→インターネット インフォメーション サービスでも可)。インターネット インフォメーション サービスの設定画面が表示されます。もし、既定の SMTP 仮想サーバーに赤い×印がついていているようであれば、右クリックから開始を選んでください。

続いて、開始したSMTPサービスをOutlook Expressなどから利用できるように設定を行ないましょう。ツリー表示のドメインをクリックします(画面右のドメインならダブルクリック)。ドメイン名にお使いのPCに付けた名前が表示され、種類はローカル(既定)となっているはずです。ここでPCに付けた名前は覚えておいてください。初期状態のSMTPのサービス設定は、匿名アクセス可能、接続は全てのコンピュータ、中継の制限はリストに含まれるコンピュータのみとなっています。中継リストが何も登録されていないのでこのままでは送信できません。

既定の SMTP 仮想サーバーを右クリックしてそのプロパティから、設定を変更していきましょう。ここで行なう設定はアクセスタブに集中しています。アクセスを選んで、念のため認証ボタンを押して匿名アクセスにチェックがついているか確認してください。次に接続ボタンを押してSMTPサーバーに接続できるコンピュータの一覧をチェックします。初期状態はあらゆるコンピュータから接続可能(リストが空でリストに含まれるPC以外のすべて)になっていますが、セキュリティを高めるならばLAN内の各PCのIPを指定したリストを作り、リストに含まれるコンピュータのみに(中継の制限と同じ設定にする)アクセス制限を掛けたほうがよいでしょう。

実際に送信するには中継の制限設定が重要です。中継ボタンを押してメールの送信を許可するPCのリストを登録していきます。セキュリティを考慮して、送信を許可するPCだけを登録していくことをお薦めしたいところです。LAN内でメール送信を許可するPCの数は、WAN側からの不正接続を拒否したい数よりはるかに少ないはずだから。ルータ任せの動的IP割り当てであればIP範囲を指定して許可するのが有効かもしれません。

例えば、192.168.1.*にLANを設定していて、メールの送信許可を192.168.1.72, 192.168.1.73, 192.168.1.98, 192.168.1.99だけに与えるならば、追加ボタンでそれぞれのIPアドレスを入力して追加していけばOKです。

SMTPサービスの設定が終わったら、メールソフト側の設定を変更します。メールサーバーの設定で、SMTPサーバー名を、先ほど確認したお使いのPCに付けた名前にしてください。PCV-RZ72PならPCV-RZ72P、MyServerならMyServerと記述します。

当然のことですが、この方法でSMTPサーバーを用意した場合は、適切に中継許可を与えておけばLAN内のすべてのPCがそのSMTPを用意したPC経由でメール送信が可能なので、LAN内の1台1台にSMTPサーバーをインストールしなくてもよいので便利です。24時間起動するPCを1台用意しておけば、ほかのPCにはSMTPサーバーのインストールは不要なので。

Windows 2000も同様の設定でSMTPサーバーが利用可能です。初期設定はWindows XPと違うかもしれませんが、以前使っていたので……。その後のService Packで仕様が変わってなければ大丈夫なはずです。設定は少々手間ですが、安定性はこれが一番の模様。なお、時代の流れを受けてかWindows7 ProfessionalにはSMTPは用意されていませんでした。

Radishという国産のポータブルSMTPサーバーもあります。SMTPが標準で用意されているWindows2000にOSを変更する前までは自分もRadishを使っていました。もう公開されていないみたいですね。

現在はOutbound Port 25 Blocking(OP25B)を導入するプロバイダーが多いため、SMTPサーバーを自前で用意しても送信がブロックされるケースが増えてきました。一部の迷惑なユーザーのせいでとばっちりを受けてしまい本当に困ったものです……。