起動しなくなったPCからデータを救出
PCの利用歴が長い人ならば、Windowsのシステムファイルが破損するなどしてPCが起動しなくなってしまったということを何度か体験した人もいるのではないでしょうか? セーフモードでも起動しなくなりどうしようもない状態になっても、ハードディスクにある必要なファイルを救出したいという場合もありますよね。
ハードディスクが物理的に壊れたのでなければ、中にある重要なファイルを取り出すことは可能です。PCのケースを開けて内蔵ハードディスクを取り外し、別のPCへ接続してデータの救出をしたりすればよいのですが、2台以上PCを持っていないとそのような救出方法は使えません。ここではCD-ROMドライブから起動できるLinuxディストリビューションの1つであるKNOPPIXを利用して救出する方法を説明します。
事故に備えてCD-R/RWにKNOPPIXを用意しよう
PCが起動しなくなってからではどうにもならないので、突発イベントに備えて普通にPCが起動して使えている正常な状態の間にCD-RもしくはCD-RWにKNOPPIXを書き込んでおきましょう。そうすればいざというときに「こんなこともあろうかと(以下略)」と言えるわけですね。
まずは独立行政法人産業技術総合研究所のWebサイトからKNOPPIX日本語版をダウンロードします。CD[ISO]版の画像をクリックし、最新ダウンロードサイトのHTTPダウンロードかFTPダウンロードを選んでCDイメージをダウンロードしてください。FTPダウンロードを選んだ場合は右クリックからコピーを選ぶか、アイコンをデスクトップなどにドラッグ&ドロップしてダウンロードします。本稿を執筆するにあたり、自分はknoppix_v5.0.1CD_20060601-20060614+IPAFont_AC20060623.isoをダウンロードしました。バージョンアップによりファイル名は変わると思いますが、700MB未満のファイルサイズであるCD用のISOファイルでできるだけ新しいものを選ぶとよいでしょう。古いバージョンだとNTFSのドライブには書き込みができませんから。
ISOイメージファイルをCD-R/RWに書き込むには、CDライティングツールが必要です。Windows XPならば「PowerToys for Windows XP」のISO Image Burnerを利用することができますが、ここではWindows XP以外である可能性を考慮して「CD Manipulator」を利用することにします。
CD Manipulatorをダウンロードして解凍し、起動してください。言語選択は日本語でOK。起動したら上下2段で横に4つボタンが並んでいますが、下段の左から2番目を押します。トラックリストを選び、メニューのトラック⇒ISOファイルの挿入から先ほどダウンロードしたISOファイルを選択するか、ISOファイルのアイコンをCD Manipulatorにドロップするかして登録してください。CDへ書き込みを押し、CD-R/RWをセットしたドライブを選択してOKを押して書き込みを開始しましょう。KNOPPIXはアップデートされていくのでCD-Rよりは書き換え可能なCD-RWに書き込んでおいたほうがよいのではないかと思います。
なお、KNOPPIXの起動CDを作成して安心してはいけません。念のためにPCが正常に動作するうちに最低限一度はKNOPPIXを起動し、基本的な使い方だけは覚えておいたほうがよいと思います。KNOPPIXにもFirefoxがあるから、何かあってからでもインターネットに接続して使い方を調べることはできますけど。
KNOPPIXを起動する
CD-ROMあるいはDVD-ROMドライブにKNOPPIXを書き込んだCDをセットしてPCを再起動します。メーカー製PCならば出荷時設定はCD-ROMからブートできるようになっていると思いますが、もしCDから起動できない場合は、メーカーロゴが表示されているときにBIOS Setupのキーを押してBIOS設定を変更しなければなりません。メーカーによってキーは異なると思いますが、ロゴが表示されているときに画面左下に表示があるはずなのでそのキーを押してください。BIOS設定のどこかにBootという項目がありますから、そこの起動優先順をCD-ROM⇒HDDに変更します。メーカーにもよりますが1st Boot Device, 2nd Boot Deviceなどというように表示されているかもしれません。
CDから起動できるような設定になっていれば、KNOPPIXを書き込んだCDをドライブに入れておけばKNOPPIXが起動します。起動時には本当にCDから起動するのか聞かれますので、Enterキーを押して起動させましょう。しばらく放っておいてもKNOPPIXが起動しますけれど。画面に起動情報がいろいろ表示されますが、起動には少々時間がかかりますので気長に待ってください。これでも以前よりはずいぶん早くなっているんで……。
KNOPPIXが起動したら、デスクトップに各ドライブのアイコンがあるので、それをクリックすれば各ドライブにあるファイルを見ることができます。ここで救出したいファイルを別のドライブへコピーしてしまいましょう。KNOPPIXもWindows同様の操作でファイルのコピーができるので特に悩むようなことはないと思います。
適当にドライブを開き、進む⇒ネットワークフォルダ⇒Samba共有から目的のネットワーク上のドライブを開いてそこへコピーして逃がすのであれば全然問題はありません。しかし、Windowsの起動に使うCドライブ以外へコピーしての救出、すなわち再インストールやリカバリで影響を受けないドライブへファイルをコピーという場合には注意が必要です。KNOPPIXは全ドライブが初期状態で書き込み禁止になっているため、デスクトップ上にある書き込みをしたいドライブのアイコンを右クリックして、Change read/write modeを選んで書き込みを許可しておかないといけません。許可を与えない状態ではすべてのドライブで書き込み時にエラーとなってしまうので、ネットワーク上のドライブにしかデータをコピーできませんのでご注意を。
ファイルのリネームもドライブへの書き込みが発生する操作ですのでご注意ください。
必要なデータをすべて待避させることに成功し、データの救出作戦が完了したらKNOPPIXを終了しましょう。左下のKマークのある水色のアイコンを押して、ログアウトからコンピュータを停止を選んで終わらせます。