完全データ消去
Windows 2000/XP Professional
HDDを捨てたり、売却したり、あげたりする場合、データの消去には気を遣わなければなりません。「ファイル復活」や「データ復元」などで検索すればわかるように、誤って消したファイルを元通りにするためのツールは山のようにあります。
また、逆に「完全データ消去」で検索してもさまざまなツールが販売されていることに気づくことでしょう。
情報流出を防止するためには、特別な処理が必要というわけですね。Linuxなんかでは標準で完全にデータを消去してくれるツールが付属していたような気がしますが、Windowsではどうなのでしょう?
Cipher
Windows2000 ProfessionalとWindowsXP Professional EditionにはCipherというツールが付属しています。これは本来暗号化のためのコマンドラインツールなのですが、米国防総省で定められている消去手順「ディスクを0x00クリア→0xffクリア→ランダムクリアの3STEP」で確実にディスク内を完全消去することができます。
Windows2000の場合には、パッケージの出荷時期によってはMicrosoftから最新のCipherをダウンロードしないと完全データ消去はできないかもしれません。必要ならばダウンロードしてインストールしましょう。
実行手順
Cipherには大きな制約があります。ファイルシステムがNTFSになっていないと処理ができないのです。そこで、完全にデータを消去したいドライブは、まずマイコンピュータを開いて、該当ドライブを右クリックしてフォーマットを選んでフォーマットしましょう。通常はこれが済んだらファイルが見えなくなるので安心だと思いがちですが、実際にはディスクの内部を直接調べればデータの中身がしっかりとわかってしまいます。
フォーマットは、ファイル システムをNTFSにして、クイック フォーマットで構わないのでサクッとフォーマットしてください。ここでは、ドライブSを完全データ消去する例で紹介しています。
フォーマットが終わったら、コマンド プロンプトを実行します。WindowsXPならば、スタート→すべてのプログラム→アクセサリにあります。Windows2000の場合は、スタート→プログラム→アクセサリです。
C:\>cipher /w:s:\
コマンド プロンプトから上記のように入力してEnterキーを押してください。もちろん、これはドライブSを処理するからであり、仮にドライブFを処理するならばcipher /w:f:\とします。
ひたすら待ち……
実行後は、消去が終わるまでひたすら待つことになります。0x00 に書き込み中と表示されて徐々に消去が進行していきますが、60GBのディスクで約150分ほどうちの環境では掛かりました。データ消去を開始したら、消去するドライブにアクセスさえ行なわれなければいいので、DVDを見るなり何か別のことをすることをお薦めします。映画鑑賞なら見終わる頃に処理が終わるんじゃないでしょうか?
なお、WindowsXPのHome EditionにはCipherが付属していませんが、LAN内にWindowsXPのProfessional Editionが1台でもあるのであれば、そのPCのCipherのあるフォルダを共有フォルダにするか共有フォルダへコピーし、それをHome Editionでネットワークドライブとして割り当ててやれば処理が可能。Home Editionへコピーして実行だとライセンス違反になるので、ネットワークドライブから実行という回避策(グレーゾーン?)がよろしいかと……。
なお、フォーマットをせずにファイルやフォルダがあるドライブを対象に実行した場合の動作結果は、ファイルやフォルダに影響を与えずにドライブの空き領域(つまり削除したファイルの痕跡が残っている部分)を完全消去してくれます。意外に便利かもしれません。