証券会社の選び方
投資手法による違い
株式取引を行なう上で、どのような投資手法でいくにしても重要なのは手数料の安さです。手数料が高いと利益を出すのに苦労します。例えば、手数料525円の証券会社と手数料3150円では、前者は購入時から1050円以上儲ければ損することがないのにたいして、後者は6300円以上儲けないと手数料負けしてしまい、リスクが高くなるわけですね。同一日に同一銘柄を売買する場合には手数料が片道無料の証券会社もあるので、頻繁に取り引きを行なう可能性のある人は日計り取引片道無料かどうかもチェックしておきましょう。
一日に頻繁に取り引きを繰り返すデイトレーディング(デイトレ)をする予定がある人は、手数料の安さよりも重要となるのがシステム障害などのトラブルが発生しないことと、(発注が反映される)板乗りの早い証券会社となります。手数料が安いところは薄利多売戦略といえるわけで、システムの増強が追いつかないと注文が多いときなどは板乗りが遅くなったり、最悪の場合はシステム障害が発生します。したがって、手数料の安い証券会社でデイトレを行なうのはかなりリスキーです。デイトレをするのであればシステムの安定性と早さを売りにしている証券会社を選ぶほうがよいと思います。手数料の安さよりも優先すべき部分となるからです。これは実体験の結果だったりします。2005年は2カ月のデイトレで30万以上の損失を出し、デイトレは止めました。それ以降はスイングトレードに切り換え、損失を取り戻して年末は+10万で終了。現物のみの上に投資資金が少ないので回復させるのに苦労したですよ(苦笑)。
情報量
各証券会社が提供している投資情報の量には大きな差があります。提供される情報は無料のものと有料のものがあるのも注意が必要ですね。例えばA証券はQUICK情報が無料で提供されていますが、B証券では有料だったり。でもA証券では四季報情報が見られないとかいう具合で提供される情報には証券会社によって違いがあります。証券会社は口座維持費用が無料であることが多いため、複数の証券会社に口座を作成することをお薦めしたいですね。そうすることで無料で得ることのできる情報を増やすこともできますし、(システム障害など)いざ何かあったときに投資資金を素早く別の証券会社に移すことも可能となりますから。
特定口座と一般口座
証券会社の口座には特定口座と一般口座があります。特定口座だと税金の計算が自動的に行なわれて便利です。特定口座には、そのまま税金の支払いも自動で処理する源泉徴収ありの特定口座と、確定申告で行なう源泉徴収なしの口座があります。もし、あなたが学生なのでしたら特定口座の源泉徴収ありにしておいてください。さもないと、1年間を通じて38万円以上の利益を出した場合に、確定申告が必要となるのと同時に親の扶養家族から外れてしまうためです。扶養控除が受けられなくなったり社会保険の猶予がなくなったりして意外と大変なことになってしまいます。
ツールなど
株式の取り引きに使われるツールは各証券会社によって異なります。ここでは2005年末の状態でのコメントとなりますが、例えば楽天証券ではマーケットスピードというWindows用アプリケーションを用意していて、情報のリアルタイム性と使いやすさの両立を実現できているのですが、他社はブラウザを利用したJAVAベースのアプリケーションを採用していて、使い勝手がいまいちな感じでした。
もっとも、ツール類の使いやすさというのは、慣れや好みで人それぞれ印象が大きく変わってくるものなので、実際に試してみるというのが一番です。口座維持費用が無料ならば気になる証券会社の口座を開設し、実際にツールを試してみたほうがよいと思います。以下に自分が使っている証券会社のツールの画面を載せておきます。
※吸収されてなくなった証券会社もありますが、ツールの参考資料として残しておきます。
楽天証券のマーケットスピードは板情報と日足や5分足など、好みの情報を同時に画面に表示できるのでかなり便利です。株式の取り引きをする上でかなり役立ちます。板をダブルクリックするだけで発注ができるなど、使い勝手も良好。個人投資家には手放せないツールだといえるのですが、2005年はシステム障害が多発したために信頼性に疑問符が付くのが惜しい感じかもしれません。非常に使いやすいツールなので、信頼性が向上すればお薦めしたい証券会社です。
livedoor Streamerはリアルタイムに変化していく株価をチェックできるものの、しばらく放っておくとタイムアウトとなってネットワークが切断されたりするので使い勝手がイマイチです。Quick Streamerからの改良点は、Streamerから売買を行なうことができるリンクが追加されている点。その改良が行なわれたときにそれ以前と比べて使いやすくはなったものの、まだまだ物足りない感じがします。使いやすいとはいえないかもしれませんが、デイトレじゃなければおそらく問題もなく大丈夫でしょう。
※楽天証券をメインにして資金を完全に引き揚げたため、その後のことは不明です。「かざか証券」に社名変更されたあとは一度もログインしていないので現状の把握すらできていません。
手数料無料
売買手数料が特定条件下では無料の証券会社もあります。これをうまく利用すると手数料を考えなくてもよいため、予想が外れたときの撤退が楽になったり、多少の株価変動でも利益を上げることが可能です。投資金額が少ない人には強くお薦めします。
売買金額が少ない場合に無料と設定されているケースが多いのですが、例外の銘柄もあるので取引時には注意しなければなりません。また、手数料は無料とはいっても、その日の取引金額が確定するまでは通常の手数料分が引かれており、確定後に手数料分が戻ってくるというシステムであることに気をつけてください。なお、以下に掲載している手数料無料のある証券会社の例は執筆時のものであり、証券会社の手数料見直しなどで変化している可能性もあるので口座開設前に自分で一度調べてみてください。
また、デイトレで買った日のうちに売るような日計り取引をすると、通常は売りと買いで別々に手数料が発生するところを片方が無料になる片道無料のサービスを行なっている会社もあるので、証券会社の手数料を調べるときにはその点にも留意して調べてみましょう。
※掲載時点での情報であり、その後手数料無料条件が変わっていたり廃止されている可能性もあるので、口座開設前にご確認ください。
- 楽天証券
- 口座開設後3カ月間は1日の売買金額が20万円以下ならば手数料無料。同一銘柄の日計り取引は片道無料です。また、いちにち定額コースを選んでいる場合は、複数の銘柄を取引しても約定金額が一定金額に達するごとの手数料体系なので、注文1つあたりいくらという手数料よりは安くなるケースもあります。
- 松井証券
- 1日の売買金額が10万円以下ならば手数料無料。同一銘柄の日計り取引は片道無料です。
- 丸三証券
- 口座開設から2カ月間は手数料無料です。
さらに口座開設から2カ月が経過しても1日の売買金額が20万円以下ならば手数料無料とお得。※2009年6月18日で20万円以下は手数料無料は終了となりました。