投資の考え方
配当・優待
企業が新規の事業を行なうときに必要となる資金を調達するには、銀行からの借入と、投資家から出資してもらうという2つの手段があります。銀行からの借金は返済する必要がありますが、出資で調達した場合は返済する義務がないのです。もちろん、そんな一方的に企業側に都合のよい話があるわけなく、投資家(株主)は出資した額の割合に応じて企業の経営に参加するすることができます(議決権など)。また、経営への参加に興味がなくても、配当金や株主優待などもメリットとしてあげることができるでしょう。
自分の考える中期株式投資の基本は配当です。企業が出資者へ利益を還元するというのが配当金であり、投資する最大の目的はここにあるといってもよいと思います。株価に対する配当金の割合を示す「配当利回り」を見ながら投資をしていくというのが正しい投資です。株価が上がっていけば配当利回りは下がり、下がれば配当利回りは高くなります。同じ資金でより多くの配当を得ようとすると持っている株を売却して別の株を買うというように考える人が出てくるために株価は上下しているわけです。もちろん、企業の業績が悪化すれば配当金は少なくなったり無配(配当なし)になる可能性もありますし、逆に業績がよくなれば配当金が増額されることを期待できます。このあたりを先読みしながら売買していくのが本来の意味での投資というものです。
配当利回りは年間配当額を株価で割ることで算出できます。まあ、計算しなくても証券会社のサイトにログインすれば見れるはずです。配当利回りが2%以上あるようなところを買っておけば大けがをすることもないでしょう。なぜならば高配当の株はほしがる人も多いので、下がっても下値がしれているからです。
企業によっては株主優待制度があるところがあります。外食系では自社お食事券が、スーパーやコンビニだとQUOカードや自社割引券が多いようです。おいしいところでは西友の株主優待でいつでも西友で5%引きで買える1年間有効な株主セゾンカードが作れたり、イオンだと持ち株数によって3~7%の割引となる優待カードが作れたり、サンリオだとほかでは手に入らない株主限定のキャラクター商品がもらえるなど、企業によってはかなり特色があります。しかし、あくまでも株主優待はおまけです。おまけのために変な株を買ってしまったら本末転倒なので、そこだけは注意したほうがよいでしょう。
※株主優待は永続的なものとは限りません。上記の西友は上場廃止となって株主優待はなくなりました。株主優待を重視すると、株主優待が廃止された場合に痛い目に合う可能性があるので気をつけてください。
値幅取り
上下する株価から得られる値幅の売却益をキャピタルゲインといい、こちらも投資家の期待する大きなウェイトを占める部分です。基本的にこちらは短期・長期での利益というものを狙うことになりますが、超短期のデイトレーダーはこれのみを目的として投資します(デイトレーダーは投資というより投機かも)。短期は2週間程度で利益を上げることを狙い、長期は1年以上で数倍になる銘柄を狙うといった感じになると思います。ミスや事故が起こったところですかさず売買して利益を得たり、好業績や好材料の発表での株価上昇の流れに乗って買い、高くなったところで売り抜けるなど。デイトレーダーは資金を効率的に運用して機会を逃さず利益を上げようというものであり、それなりのノウハウを持ち株式投資に専念する人にしかできません。デイトレ本を読んで儲かるならやってみようかと安直に思うような人はデイトレを避けたほうが無難でしょう。
株式分割に注意
株価が高くなると投資するのに必要となる資金が増えて買いづらくなってしまいます。そこで株式分割を行ない1株を2株に分割(2分割)したり1株を5株に分割(5分割)などして投資家が買いやすくなるような処理を行なうケースがあるので、そのような場合には注意が必要です。10万円の株が2分割された場合は1株10万円だったのが2株で10万円となるので1株あたりの価格が安くなります。評価額は変わらないため長期投資ならば慌てなくてもよいのですが、短期投資の場合は、分割後は市場に株が溢れて一時的に株価が低迷する可能性があるため、権利を取るよりも売り抜けたほうがよいかもしれません。投資スタンスにあわせた対応が必要となる部分です。
マイルール
一番重要なのがマイルールを作りそれを守るということです。マイルールは経験から作られるものなので、取引で気付いたことは必ずメモをして反省し、それをマイルールに活かすという感じがよいでしょう。メモは必須です。うっかりとして忘れた頃に同じミスを繰り返すかもしれませんので。
自分も当然マイルールは定めていますが、これまでの経験上、損失を出したときはマイルールを破ったときがほとんどだったりします。それぞれ考え方が違うだろうから、定めているルールはみな違うと思いますが、参考までに自分の定めているマイルールの一部を公開しておきましょう。なお、自分の投資スタイルは逆張りが主体なので、順張り主体の場合とはかなり異なると思いますのでその点には注意してください。
- 東証1部上場銘柄(リスクが少ない)
- ここ数年は安定して配当を出している企業を選ぶ
- そこそこ好業績である
- 配当利回り1%以上(あるならば2%以上の銘柄)
- 企業の成長性が持続しているか、しばらくは安定する見込みのところを選ぶ
- 相場の流れに逆らわない(市場の目安となる日経平均の下落相場では買わない)
- 他人の話は鵜呑みにしない(株式市場は戦場なのであり、自分の大切な資金を有料・無料を問わずネット上の情報を鵜呑みにして売買などしてはいけない。特に有料で情報を売っているものは信じるな。そもそも儲けの最大の秘訣はその手法を知られぬことであり、広告を出して情報を売っているという時点で情報を売っている人が儲かっていないのは明らかだ。儲かっていれば広告を出してまで顧客を増やしたいなんて思わないんだから、騙されないでね。投資情報を他人から得たいというならばいならば、投資信託を買って運用を任せたほうがまだいくらかマシですよ? 個人的には投資信託もお薦めできないと考えているけど、広告を出している有料情報よりははるかに投資信託のほうがマシだとだけはいっておきます)
- 購入価格から5%以上株価が上昇したら、タイミングを見て必ず売る(欲張らない利益確定)
- 株の購入は予測を誤ったときに備えてナンピンの可能性を考慮し、証券会社の口座の買い付け余力の50%未満の金額までにする
- 予想に反して株価が下がった場合は、配当利回りが2%以上ならば機をみてナンピン、1%未満ならばナンピンせず塩漬けか損切り
※ナンピン:質問が来たので「ナンピン」の説明を先にしておきます。これは執筆が進むと別ページになる可能性が高くなるかもしれません。この「ナンピン」というのは、購入時の予測に反して株価が購入したときよりも下がったときに取る行動です。例えば10万円で1株買ったとします。下がってしまって株価が8万円になってしまった場合などに、買い増して平均購入価格を下げることです。この場合の例では、10万円で1株買った株が8万円になった場合に、8万円で株を買い増すということになります。8万円で1株買うと平均購入価格は9万円になり、株価が反発した場合に利益が出るラインが当初の10万円よりも低くなってマシとなるわけですね。通常はナンピンというのは最初に買った株数と同数を買うのではなく、2倍((10万+8万×2)÷3=平均取得価格86666円)とか3倍((10万+8万×3)÷4=平均取得価格85000円)の数を買って平均購入価格をどんどん下げていきます。それにより、株価が反発した場合に最初の購入金額(注目した最初の買いは打診買いといい、この買値から反発して上がっていってしまってもまあいいかと感じで機会損失をしない程度に少し購入するもの)よりも安いところで売っても利益が出るようになるわけです。投入できる資金が多いほどリスクが減るので金持ちの投資法ともいわれますが、最初から投資に使える金額を全力で使うようなことをしなければ、個人投資家もナンピンをすることでリスクをかなり軽減することができます。
現状で自分が定めているマイルールでは、株価が下がりきって反発するところでナンピンすることを前提にして、最低限投資資金の半分の買い付け余力を残すようにしているわけです。(根拠はないけど)絶対的な自信がある強気なときは余力を残さずに全力で株を買いにいってしまいますが、そこで予測を外してしまうとハマって損失を出すかしばらく塩漬けになっていますね。自信を持って口座の余力の全力で買った銘柄だと、2005年の塩漬けはイー・アクセスで半年ほど、サハダイヤモンドで1カ月ほどというのがあったりして……。ほかの株を利益確定してナンピンにまわるまで資金を眠らせることになって効率が悪化しましたね。まだまだ甘いようです。というか、欲を出してマイルールを無視したときに自爆しているだけともいう。