AVIUTLでビデオ編集
Windowsの標準的な動画ファイルはAVIです。AVIUTLを使うと動画ファイルの編集が可能となります。CM除去などのカット編集や素材がテレビソースである場合のインターレース解除などの手順を紹介していきましょう。
CODECの用意
編集した動画を保存する場合に、無圧縮やWindowsに標準で付属するCODECではサイズが大きくなりすぎて保存に向きません。XviDやDivXといったMPEG4系のCODECなどをインストールしておきましょう。必要なCODECの入手元は動画再生に必要なものを参照してください。
カット編集手順
AVIUTLにおけるカット編集は「範囲を選択して削除」の繰り返しとなります。範囲の選択などを行なうのは右下にある4つのボタンです。4つのボタンのうち、左の2つ()がフレーム選択で、前後を参照して必要な部分か不要な部分かを調べていきます。
動画の不要な部分の先頭で右から2番目のボタンを押し、不要な部分の末尾で一番右のボタンを押して範囲を選択してください。
範囲の選択ができたら、編集の選択範囲のフレーム削除を実行して不要部分を削除しましょう。これで不要部分が取り除かれたはずです。あとは不要な部分の数だけカット編集繰り返していきます。
キーボードを使えば範囲選択は便利になります。PageUp,PageDownキーで任意フレーム単位(初期状態では5フレーム)、←,→で1フレーム単位でフレーム参照が可能です。ジャンプウィンドウを使うとCMカットなどはかなり楽になります。
インターレース解除
ほとんどの場合、素材はテレビからのキャプチャーなどであり、映像はインターレースとなっているはずです。ビデオカードにテレビ出力がある人はインターレースを解除しないでテレビに出力すればよいわけですが、PCのディスプレイで見るほうがほとんどという人はインターレースを解除したほうがよいでしょう。
インターレースの解除は設定のインターレースの解除で解除方法を指定します。最近のキャプチャーカードはフィールドオーダーがトップフィールド -> ボトムフィールドなので、そのように設定しておいてください。解除方法は、アニメの場合は基本的に自動24fpsがよいでしょう。私の場合は自動24fpsの設定をしきい値64~80程度、範囲16にして、横縞部分を二重化にチェックを付けます。しきい値と範囲はソースによって最適値が異なるので、圧縮ごとに微調整が必要です。横縞部分の二重化は、インターレース解除に失敗した場合に残った横縞を二重化で解除する機能のようなのでチェックを付けておいたほうがよいでしょう。実写は自動です。自動の設定は素材次第で調整します。
インターレース解除は自動で確実に行なえるものではありません。なぜかというと、シーンチェンジごとにフィールドオーダーが入れ替わることがあるためです。このような場合は自動ではうまくインターレースの解除をできないため、手作業で解除する必要があります。
フィールドオーダーが部分的に入れ替わると、縦解像度が半減したような画像になり、これを正しく解除するには、解除ミスの発生しているフレームで編集の現在のフレームのインターレース解除から反転を選んで解除する必要があるのです。テンキーの1を押すと反転、テンキー0で標準に戻せます。うまく解除できるときれいな画像が得られるはずです。手間がかかりますが、画質を追求するならば反転が続くシーンの最後までこれを繰り返しましょう。圧縮には時間が掛かるので、圧縮前のAVIUTLでの編集段階でシーンごとにところどころ調べておいたほうがよいのではないかと思います。
フレームレート変更
アニメだと素材によって24/30fpsの違いがあります。これを見分けるためには、5フレーム中2フレームが同じ映像であるかないかを調べるのが確実です。フレームレートを指定失敗した場合に気になる動きの激しいシーンなどで調べましょう。5フレーム中に2つ同じフレームがある場合は、設定のフレームレートの変更で24fps <- 30fps (4/5)にします。これもシーンチェンジ検出プラグインでシーンごとにチェックしておいたほうが確実です。突如として24/30fps混在になることがありますから。
24/30fps混在のケース
アニメ素材を編集する場合にやっかいなのが、24fps部分と30fps部分が混在している素材があること。このような素材に当たったら、取るべき手段は限られます。ここではいくつかの方法を紹介しておきましょう。
- 楽をしたい
- 30fpsのまま圧縮を行ないます。ただしこの際にインターレースの解除は二重化を選んでください。このようにすることで24fps部分を30fpsで再生しても動きの不自然さがなくなります。デメリットは画質の低下と圧縮後のファイルサイズの増大です。画質を比較して気にならないようならば、楽なこの方法を選択してもよいでしょう。
- きれいにデータを作りたい
- 24fps部分と30fps部分を別々のファイルで圧縮して、AVIUTLのファイルメニューからAVIファイル操作内のAVIファイルの連結を使って結合します。最初にカット編集を行ない、音声をファイルメニューからWAV出力を選んでおきましょう。映像はその後、先頭から24fps部分と30fps部分を調べながら出力していきます。前後5フレームを見て2フレームが同じ映像が続くというのが繰り返される24fps部分は、設定のフレームレートの変更で24fps<-30fpsを選びます。全フレームが別の映像であれば30fpsなのでフレームレートの変更はなしにします。範囲選択を利用して、設定を切り替えながら順次圧縮となるのでかなり手間が必要ですが……。
- なお、この際には通常のAVI出力を使うのではなく、プラグイン出力を使いましょう。AVIUTLと同じフォルダに拡張 AVI 出力プラグインを入れておくと、拡張 AVI 出力があるはずなので、それで書き出します。CODECを選び、出力フレームレートを120にしてください。こうすることでNULLフレームで水増しし、24fps部分は5倍に、30fps部分は4倍にして120fpsに変換され、混在している素材でも再生時になめらかに再生することができるのです。なお、NULLフレームで水増しされたデータは、24fpsあるいは30fpsで圧縮した場合に比べ、わずかにファイルサイズが大きくなる程度。ファイルサイズが大きくなるのではないかという心配は不要です。
- 当然のことですが、フレームレート混在ソースだから手間をかけて120fpsでデータを作成するわけなので、たまに質問される「120fpsのデータを24fpsにしたいとか30fpsにしたい」というのは無意味なこと。わざわざ動きをカクカクになるようにしたいというのが理解できません。元のデータから作成し直しましょう。
- 可変フレームレート出力Pluginを使う Case.A
- 手間を掛けずに120fps化が可能な手順もあります。運がよければですが……。フレームレートの変更はなしにして可変フレームレート出力 for AviUtlを使うと自動処理で120fps化してくれます。AVIUTLのPluginフォルダかAVIUTLと同じフォルダに「逆テレシネプラグイン(itvfr.auf)」か「逆テレシネプラグイン インターレース解除(itvfr_deint.auf)」をコピーしてインストール。前者の場合はフィルタから可変フレームレートにチェックを付けます。後者の場合は設定からインターレース解除で可変フレームレートを選択。その際の可変フレームレートの設定はお好みで。どちらを使う場合でも専用の「AVI出力(VFR)プラグイン」をAVIUTLと同じフォルダかPluginフォルダに入れておきます。
- どちらかの可変フレームレートを使用するように設定したら、フレームレートの変更はなしにして、通常のAVI出力ではなく、プラグイン出力を使って保存します。AVI出力(VFR)があるはずなので、それで書き出しましょう。ビデオ圧縮ボタンを押してお好みのCODECの設定をしてください。構成ボタンを押してCODECの設定をしたら保存ボタンで圧縮を開始しましょう。自動的に120fps化を行なって圧縮処理が実行されます。
- ただし、自動処理は楽ですが判定ミスが起こることもあるので、圧縮後は再生してみて不自然な部分がないか確認をしたほうがよいでしょう。自動処理でうまくいかない場合は、手作業による「きれいなデータを作りたい」の手順が必要となります。
- 可変フレームレート出力Pluginを使う Case.B
- フレームレートの変更はなしで自動フィールドシフトを使用します。AVIUTLのPluginフォルダかAVIUTLと同じフォルダに関連Pluginファイルを入れて、インターレース解除で自動フィールドシフトを選択してください。インターレース解除の自動フィールドシフトの設定を選ぶと、ソース別のデフォルト設定ボタンがならんでいるので、適切なものを選びましょう。思うようにうまくいかない場合は各パラメータを調整することになります。保存はプラグイン出力の拡張 AVI 出力プラグイン plusから行ないます。このプラグインは自動フィールドシフト出力に対応するだけでなく、DivX5/XviDのB-Frame(Packed PB-Frame)に対応しています。AVIUTLを使うと、B-VOP使用時に最大で連続使用するB-VOP数ぶん最終フレームが欠落する可能性があるようですが、それを防止する機能を持っています。
- 自動フィールドシフトは出力速度が20~40%ほど遅くなりますが、結構高い精度で120fps化してくれている感じ。ただ、出力結果は受信環境などソース状態によって変化するかもしれません。編集時にシーンチェンジ検出を行なって、反転のチェックをして問題のある部分は訂正をしておいたほうがいいのは今まで通りですけれど。